米ニューヨークの国連総会で一般討論演説し、北朝鮮を厳しく非難した安倍晋三首相。目前の総会場はガラガラだった (c)朝日新聞社
米ニューヨークの国連総会で一般討論演説し、北朝鮮を厳しく非難した安倍晋三首相。目前の総会場はガラガラだった (c)朝日新聞社

 野党が求め続けた臨時国会の召集。ようやく開くかと思ったら冒頭解散だ。敵失や外的要因に支えられた大義なき解散総選挙。「解散」そのものの意義が問われている。

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 9月22日、朝7時。小雨がそぼ降る中、京王線の高幡不動駅(東京都日野市)前に、自民党の小田原潔衆院議員(53、衆院東京21区)の姿があった。

「いよいよですね」

「頑張ります!」

 出勤する会社員や登校する学生たちが足早に駅に向かうなか、約1時間、有権者と握手を交わしながら国政報告のチラシを配った。ほぼ毎朝、駅頭での「朝立ち」を続けてきた小田原氏は、市民の変化を敏感に感じている。

「(昨年の)東京都知事選の後あたりから、自民党への風当たりが強まった気がしています。それでも私に投票してくれる人を一人でも増やすしかない」

 3連休中日の9月17日、朝日新聞など複数のメディアが衆院解散の見通しを伝えたことをきっかけに、永田町では解散風が吹き荒れた。衆院選は10月10日公示、22日投開票の日程となる見通しで、解散から投票までの期間は24日。この「短期決戦」に備えて、自民党の若手議員は早くも動き始めている。

 冒頭の小田原氏は自民党の2期生。若手議員に不祥事や失言などが相次ぎ、「魔の2回生」とも呼ばれてきた。同選挙区には民進党を離党し、小池新党入りもささやかれる長島昭久衆院議員(55)がいる。細野豪志氏、若狭勝氏らによる小池新党は9月26日にも旗揚げする見通しだ。

「間違いなく、過去一番厳しい戦いになる。相手候補の応援に小池百合子東京都知事が入ったり、野党が共闘したりすることも想定しています。でも、私はまだまだ半人前。政局や相手に関係なく地道にやるだけです」(小田原氏)

 同じく自民2期生の辻清人衆院議員(38)は、今回の解散時期についてこう話す。

「悪いタイミングではないと思います。追い詰められて解散するよりはいい」

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