●モリカケはどこに

「この八王子選挙区の萩生田元官房副長官は、加計学園問題のキーマンと言われております。八王子市民として、きちんと説明をしてほしいと思っています」

 22日朝、JR高尾駅(東京都八王子市)前でそう声を上げたのは、共産党の立候補予定者の飯田美弥子氏(57)。八王子市は加計学園問題で関与を問われた萩生田光一前官房副長官の選挙区だ。前回14年の衆院選では、萩生田氏が得票率51.7%で当選するなど選挙には強い。だが、森友学園、加計学園問題での説明責任は中途半端なままだ。共産党の地方幹部はこう話した。

「萩生田氏を『こうちゃん』と呼んでいた自民党支持者からも、都議選のときは『次は駄目だ』という声が聞こえた。モリカケ問題はまだ、市民の心に残っている。野党統一候補を立て、対立軸を示したい」

 共産党との選挙協力に否定的な姿勢を見せていた民進党の前原誠司代表だが、20日には4野党の幹事長・書記局長の会談が実現。遅ればせながら野党候補の一本化に向けて動き始めた。法政大学の山口二郎教授(政治学)は、こう指摘する。

「安保法制以来、政治にかかわろうとする市民が増えてきた。自民対民進という構図ではなく、自民対野党+市民の構図を、野党が共闘して引き出す努力をするべきだ。憲政擁護を揚げて立ち上がればいい」

 確かにいまの野党の態勢は脆弱だが、横綱自民を相手に五分の論戦へと持ち込めるか。投開票日まで1カ月を切った。

(編集部・澤田晃宏、作田裕史)

AERA 2017年10月2日号