赤ちゃんの脳の発達や運動を促すうえでとても重要な意味を持つ触覚。「触るより触らせる」が重要だという (※写真はイメージ)
赤ちゃんの脳の発達や運動を促すうえでとても重要な意味を持つ触覚。「触るより触らせる」が重要だという (※写真はイメージ)

 子育て実用誌『AERA with Baby スペシャル保存版 早期教育、いつから始めますか?』では、脳の発達を変える赤ちゃんとのかかわり方を特集しています。

*  *  *

 赤ちゃんのふんわりした頬。小さな手や足もかわいくて、ずっと触っていたくなります。でも、「触りすぎ」には注意が必要。赤ちゃんの発達を妨げることにつながります。「触るより触らせる」が重要です。

「今の育児の中で、ないがしろにされているのが『触る』という感覚です」

 日本赤ちゃん学会理事長で、同志社大学赤ちゃん学研究センターの小西行郎先生はそう言います。

 赤ちゃんが順調に発育しているかどうかは、首すわりや寝返りなどの運動発達で確認しますが、実は「触覚」は、脳の発達や運動を促すうえでとても重要な意味を持っています。

 大人が運動する際は大脳から体の筋肉への指令があって動くとされていますが、実は大脳がほとんどできていない胎児も、子宮の中で全身運動をしています。動くことで脳をつくっていくのではないかと考えられています。

 触覚は最初にできる感覚で、胎児は妊娠10週目くらいからくちびると指先に触覚が宿り、指しゃぶりを始めます。もう少し大きくなると、子宮の内壁に手足をぶつけます。これが「胎動」です。

●触ろうという動きが運動にもつながる

 生まれた後も、手を合わせたり(生後4カ月頃)、足をなめたり(生後5カ月頃)して、自分や周囲を触った認識をもとに脳内に自分の体の像を作り上げていきます。身近なものを触ろうという動きが、運動にもつながるのです。

「赤ちゃんが何でも口に入れようとするので危ないし、不衛生」と悩むママやパパもいるでしょう。でもこれは、最も発達の早い口の中の感覚で、さまざまなものを確かめる行為なのです。生後5~6カ月頃までは平面しか見えていませんが、口に入れることで立体を認識することもできます。

 さらに小西先生は、「触る」と「触られる」ことは全く違うと強調します。

次のページ