共働きやひとり親家庭が「保活」を乗り越え、子どもが小学生になると新たに直面するのがこの「居場所」問題だ。子どもを狙った悲惨な事件が相次ぎ安全に過ごせる場所を確保するのが必須だが、小学生が放課後を過ごすのに欠かせない学童保育も1万7203人もの待機児童を抱え(厚生労働省、2016年)、さらに保育園より預かり時間が短かったり、その内容に物足りなさを感じたりするなど質量ともに疑問の声が上がっている。

 冒頭の公務員の女性は、長男を小学1年生から公設の学童保育に預けていたが、特にこれといったプログラムもなく退屈なことや、上級生に邪魔されて宿題をできなかったこと、それを支援員の先生も注意してくれなかったことなどを聞き、すぐに民間学童も併用して通わせるようにした。

「ただ漫然と過ごしている様子にちょっとどうかなと思いました。支援員の目が行き届いているかも不安ですし。民間は決して安くはありませんが、お金で解決できるならと割り切っています」(公務員の女性)

●月4万で安心を買う

 民間学童の保育料は月約4万円と高価だが、外国人の講師から英語が学べたり、そろばん・体操・ピアノなどの習い事も選択できるなど、その充実度を考えると惜しくない。しかも、夏休みのお昼ごはんを提供してくれたり、暴風警報やインフルエンザによる学級閉鎖などの突発的な休みにも対応してくれる、公設の学童にはない柔軟な対応も魅力だ。今は次男も公設と民間の学童に通っている。

 首都圏に住む会社員の女性(37歳)の悩みは、小学4年生の長男(10歳)が、学童保育に行きたがらなくなっていることだ。理由は本人いわく、

「だって年下しかいないから」

 学童の対象は6年生までだが、高学年になると習い事や塾に通う児童が増えることもあり、学年別登録児童数の割合は1~3年生が約84%を占めている(厚労省、16年)。近隣の公園はボール遊び禁止のうえ、子ども同士で声を出して遊んでいると「うるさい」と注意される。自由に外遊びができない環境もあり、最近は友人の家に集まりテレビゲームに熱中する日が増えてきた。

次のページ