「学童に行けば宿題はしっかりやってきたので、不規則な生活にならないか心配です。どうしても専業主婦のお母さんがいるご家庭にお邪魔することが多くて、彼女にも申し訳ないし」(会社員の女性)

●学習支援を強化

 低学年向けで退屈な学童保育のイメージを覆しているのが「放課後NPOアフタースクール」だ。通常の学童保育が担う「預かり」の場という役割にプラスして、多様な「体験」プログラムを設けている。私立から公立まで全国17の学校で開校しており、公立校の場合は一般的な公設学童より安い月約2千円以下で参加できる。

 8月、東京都千代田区立九段小学校のアフタースクールを訪ねると、体育館ではヨガ、教室では宿題、レゴ、読書、ボードゲームなど30人ほどの子どもたちが思い思いに過ごしていた。9月には東京理科大学・化学研究部を講師に迎えた「おもしろ化学じっけん」、建築家の伊東豊雄さんが主宰する伊東建築塾による「子ども建築塾」を予定している。事務局長の島村友紀さんは言う。

「その道のプロなど外部から講師を呼ぶと子どもたちの集中力も違うので、こうした3年生以上の児童にささるプログラムの開発に力を入れていきたいです」

 学童保育は児童福祉法で「遊び及び生活の場」と規定されているが、最近は学習支援を強化してほしいという保護者や自治体からの要請が多いという。

●キッズウィーク始動

 一方で島村さんたちの活動の原点は、アメリカのようにNPO・行政・学校が連携してドロップアウトしてしまう子どもたちをサポートし、放課後から学校生活を変えていくことだ。経済的困難や複雑な家庭環境を抱えた児童がいる学校では、より生活に密着した場になるよう工夫している。保護者から子育ての悩み相談を受けたり、地元商店街や近隣地域の住民に「市民先生」になって昔の遊びを教えてもらうなど、地域と積極的に関係をつくることで子どもたちを守りたいと考えている。

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