関西外国語大学 提携先大学のひとつであるノーステキサス大学。多くのエリートが輩出する名門校だ。同大などと協働開発した英語教育プログラム(Super IES プログラム)を留学前に関西外大で受講することもできる(写真:関西外国語大学)
関西外国語大学 提携先大学のひとつであるノーステキサス大学。多くのエリートが輩出する名門校だ。同大などと協働開発した英語教育プログラム(Super IES プログラム)を留学前に関西外大で受講することもできる(写真:関西外国語大学)
関西外大の谷本学長。来春には留学生と外大生が半々で暮らす国際学生寮がオープンするという(撮影/写真部・岸本絢)
関西外大の谷本学長。来春には留学生と外大生が半々で暮らす国際学生寮がオープンするという(撮影/写真部・岸本絢)

 オープンキャンパス真っ盛りのこの季節。最近では親同伴で学内を回る姿も珍しくない。教育環境や入試倍率、学費もそうだが、“出口”の就職率なども気になるところ。AERA 8月28日号で、コスパのいい進学先を調べてみた。留学したいけどお金がない。大学に通いたいけど時間がない。諦めるのはまだ早い。“お得な大学”あります。

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 海外留学を売りにする大学は数あるが、その費用負担は決して軽くはない。多くの場合、留学先の学費に加え、現地での生活費がのしかかる。留学中は日本の大学を休学扱いにできるところもあるが、休学するにも数十万の費用がかかることも。

 ところが、こうした負担ナシで留学できる大学がある。関西外国語大学(大阪府枚方市)の「フルスカラシップ」制度を利用すると、留学先の学費に加え、住居費と食費がすべて免除または支給されるのだ。関西外大の学費(年115万円、その他納付金含む)と、最少限の追加負担だけで留学が可能なのである。

 しかも留学先にはニューヨーク州立大やカリフォルニア大、イスラエルのヘブライ大など一流大学が名を連ねる。3年次から2年間学位留学すれば、関西外大と留学先大学双方の卒業資格を得られ、「ニューヨーク州立大卒業」の肩書を得ることも可能なのだ。驚くべきコストパフォーマンスである。

 なぜこのようなお得な制度が実現できているのか。谷本義高学長はその秘密をこう明かす。

「一方的に学生を送り出すのではなく、交換留学だからです。提携先大学に学生を受け入れてもらう代わりに、海外からやってくる留学生の学費や寮費を本学で負担しています」

 同大学は54カ国・地域383の大学と提携し、年間約750人もの交換留学生が来日する。そのほとんどが欧米とオーストラリアを中心とした国々からの受け入れで、キャンパスには留学生があふれる。

 このフルスカラシップ制度を利用するには、成績などの条件がある。まず大学の成績が「優」であること、さらに英語圏の大学に入学する際の英語能力を測るTOEFL(PTB)スコアが530以上であることだが、いずれも、留学を志す学生にはさほど高いハードルではない。実際、2016年度は約280人もの学生がこの制度を利用して渡航した。人数制限は設けていないので、条件を満たした学生は全員対象となる。惜しくも全ての条件を満たせなかった学生には、留学先の学費が免除または支給される「スカラシップ」制度もある。

 最近の若者は内向き志向が強いともいわれるが、お得な制度を用意する同大学には、留学を目指す目的意識の高い学生が集まり、毎年約2千人の学生が留学している。その派遣数は日本一を誇る。(ライター/森田悦子)

AERA 2017年8月28日号