日本人がなじんできた「お葬式のかたち」がいま激変している。従来型のお葬式ではなく、「家族葬」が広く受け入れられ、弔いの形は家から個へ――。葬儀費用の「見える化」と価格破壊は何を生むのか。AERA 8月7日号で、新しい葬式の姿と、大きく影響を受ける仏教寺院のいまを追った。
科学全盛の時代、お寺や仏教界も進化を遂げている。住職向けの雑誌でありながら、神見出しを連発しネットでも話題となっている「月刊住職」の編集長に話を聞いた。
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ずっと気になる雑誌があった。「月刊住職」。新聞広告の見出しを見ただけで妙に心がざわつくのだ。例えば、最新号(2017年7月号)では、
「住職後継とされた青年僧の死の真相」「警察にマークされた住職の共謀罪反対」「消えたペット霊園」──。
などと、実にそそられる見出しが並ぶ。そしてこの見出しが最近では「週刊文春超えの神見出し」「攻めの姿勢すごいな」とネット上でも話題だ。
編集長は、矢澤澄道(ちょうどう)さん(68)。横浜市にあるお寺の、26代目住職でもある。
お寺の長男として生まれ、明治大学法学部を卒業後、高野山で1年間学んだ。その後に就職した仏教系出版社の社長にこう言われた。
「お寺に役立つ雑誌を出せないか」
それがきっかけで1週間で雑誌名を決めて企画書を書き上げ、10カ月後には自ら編集発行人となって1974年に創刊。3カ月後には亡き親の後を継いで住職になり、それ以来、二足のわらじを履き続けている。
雑誌のコンセプトは何か。
「伝統仏教を支える住職への応援です」(矢澤さん)
現在編集部員は4人で、僧籍を持つのは矢澤さんだけ。部員たちは普段からアンテナを張り巡らし、お寺がらみの事件や裁判などの時事ネタをはじめ、頑張る住職の話や、法律・税金相談まで、カバーエリアは広い。
「調査報道」にも力を入れる。住職アンケートを実施し、「日本の死刑制度について賛成か? 反対か?」など、社会問題にも正面から取り組む骨太なジャーナリズム精神もあるのだ。