就活2018 脱・コミュ力至上主義で企業が◯◯をやめた

就活

2017/07/06 07:00

 参加者が企業名を知るのはこのセッションの後。哲学対話を通じて、参加者と採用担当者が互いに興味を持っていれば、採用プロセスに進む。参加費は無料で、企業側は最終的に「採用」が決定した場合のみ、成功報酬を支払う。

 このアウトロー採用の取り組みをCSR(企業の社会的責任)として支援し、実際に採用した実績もあるのがコンサルティング会社のアクセンチュア。同社オペレーションズ本部シニアマネジャーの坂本啓介さんによれば、不安定就労に近い状態の若者を支援するつもりで始めたが、集まった若者と実際に接するうち、高いスキルやユニークな経歴を持つ人が多く存在することに気づいたという。

「一般的な就活プロセスに乗れない人=弱者という価値観がひっくり返されました。彼らが就活で感じている違和感こそが、職場にイノベーションやダイバーシティーをもたらすのではないかという可能性さえ感じました」(坂本さん)

●言葉が通じやすい人

 東京大学でデータ解析スキルを極めたものの、コミュ力に自信がなくて山にこもっていた男性も、話し出すまでに4秒近くかかるために通常の面接では全敗していた女性も、「アウトロー採用」を通じて入社した会社で、その能力を発揮している。

「その女性は4秒待ちさえすれば内容のあることを話すし、毒を吐くユーモアもある。入社後は、対クライアントのコミュ力も上がってきているそうです」(納富さん)

 コミュ力に関しては最近、興味深い考察が、採用関係者の間で話題になっている。アメリカの産業・組織心理学の研究者で、コンサルタントでもあるブラッドフォード・スマート博士が著書『Topgrading(トップグレーディング)』の中で指摘したものだ。

 博士は人間の行動特性を、努力やトレーニングで「変わりやすい特性」「簡単ではないが変えられる特性」「変わりにくい特性」の三つに分類=中央のチャート。コミュニケーション能力を「変わりやすい特性」に分類している。採用でこれを最重要視してきた日本企業にとっては意外な指摘だろう。逆に変わりにくいのは、知能や創造力、粘り強さなどだ。

 博士はこう指摘する。

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