「簡単に変わる特性は入社後に育成できるので、採用時にそれほどこだわる必要はない。逆に変わりにくい特性ほど、きちんと見ておくべきだ」 

 前出のアクセンチュア・坂本さんも、「アウトロー採用」に関わる中で、企業側が重視しているとする「コミュ力」の正体に疑問を抱くようになった。

「企業は、単に自分たちが言うことがうまく伝わる人を『コミュ力がある』と評価しているだけなのかなと。口ではダイバーシティーが大事だと言いながら、自分たちの言葉が通じやすい人しか採用しないのであれば、多様性は生まれません」(坂本さん)

●活躍する人のスキル

 採用コンサルタントの谷出正直さんも、

「コミュ力はダイバーシティーの一つに過ぎない」

 と指摘する。高い人もいれば低い人もいる。必要とされるコミュ力の中身も、企業や職種によって違う。採用で最も重視すべきなのはコミュ力ではなく、入社後にその人が成果を出せるかどうかだ。

「それを見極めるには、まず企業自身が、自社で活躍するのはどういうスキルを持つ人か、社内でしっかりデータを集めて分析・定義する必要があります」(谷出さん)

「コミュ力至上主義」では、もう優秀な人材は集まらない。

(編集部・石臥薫子)

AERA 2017年7月10日号