「冬季は寒くて競馬自体開催できない場がある中で、ナイターをやっているのはウチだけです。馬は寒いのは全然平気なんですけど、人間、特にお客さんがもたないんですよ(笑)。売り上げの9割近くを在宅投票が占めるウチみたいなところが試行錯誤しながら可能だったのかなと思います」

 いくら南国土佐でも、冬の夜は寒い。しかし、地方競馬がニッチに生き残るためには、大胆に舵を切る必要がある。

「岩手競馬は6月11日の日曜日に岩手ダービーというメインレースを午後6時10分発走の最終12レースでやりました。ナイター設備はないのですが、夏至に近いのでギリギリできる時間です。これはJRAのメインと同じ午後3時半出走では売り上げが伸びないのと、JRAで勝ってPATの残高がたくさんある人をターゲットにしています。極論すれば無観客でもいいんです。実際に競輪やオートレースはネット投票対応で無観客のミッドナイトレースをやっていますからね」(競馬・公営ギャンブル専門ジャーナリスト)

 地方競馬を救ったネット馬券。でも本場にはバクチを超えた楽しみがたくさんある。何より間近で見る競走馬は美しい。夏休みには、ぜひ旅打ちをどうぞ。

(編集部・大平誠)

AERA 2017年7月3日号