3LDKを、リビングの広い2LDKに間取り換えした会社員の夫婦。深夜に仕事をする夫の書斎を防音仕様にしたり、壁収納を設置したりと注文住宅のように希望を実現できたという(撮影/伊ケ崎忍)
3LDKを、リビングの広い2LDKに間取り換えした会社員の夫婦。深夜に仕事をする夫の書斎を防音仕様にしたり、壁収納を設置したりと注文住宅のように希望を実現できたという(撮影/伊ケ崎忍)
中古マンション選びのチェックリスト(AERA 2017年5月29日号より)
中古マンション選びのチェックリスト(AERA 2017年5月29日号より)

 日本にマンションが誕生して60年以上。今も年に10万戸ずつ増えている。たが一方で、建物と居住者の「二つの老い」や運営管理への無関心などにより、荒廃するマンションが急増している。何が起きているのか。防ぐ方法はあるのか。AERA 5月29日号では「限界マンション」を大特集。

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 新築ではなく中古のマンションを購入する人が増えている。価格が手ごろなうえ、新築に比べ自由に立地を選ぶことが
できるからだ。管理の実績が確認できる点もメリットだ。

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 東日本不動産流通機構の調査によると、2016年の首都圏の中古マンションの成約件数は、3万7189件と2年連続で前年を上回り過去最高を記録した。しかも、不動産経済研究所が発表する同年の新築マンションの成約件数を初めて上回った。今やマンションは新築より中古が売れていることになる。

●自分好みの間取り

 不動産コンサルタントの長嶋修・さくら事務所会長が言う。

「首都圏で契約成立した中古マンションのうち、データに登録されるのは1割程度で、実際にはその9倍は売れていると考えられます」

 国土交通省の住宅市場動向調査(16年度)によると、中古マンションを選択した理由として、約7割の回答者が「価格が適切だったから」、約6割が「住宅の立地環境が良かったから」と回答した。

「新築と中古のマンションの価格には平均して2千万円ほどの価格差があります。リフォームに1千万円かけたとしても、まだ1千万円も安い。また、新築は限られた場所にしかできないが、中古は駅近でも市場に出てくるので利便性を求める人にも人気がある」(長嶋さん)

 こうした人気を裏付けるように、中古マンションの成約価格は4年連続で上昇している。不動産にも携わるファイナンシャルプランナーの久谷真理子さんは、「このところの『リノベーション』人気も価格を押し上げている」と分析する。

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