「実際に見せてくれる物件は1割程度しかない印象ですが、それでも5年ほど前は3%程度だったことを考えると確実に増えています。開示する物件はそれだけで評価していい」

 修繕積立金の額についてもチェックしたい。積立金が安すぎる、あるいは滞納者がいるなどで大規模修繕に必要な額が貯まっていないと、修繕時に多額の一時金を支払う羽目になる。マンション管理に詳しいさくら事務所の土屋輝之コンサルタントはこうアドバイスする。

「一時金を払って修繕できればよいほうで、現実には払えない入居者のせいで管理組合で借金をすることに。無駄な手続きや利息の負担が生じます」

 これまでの管理の実績が見られる点は、中古の大きなメリットだ。土屋さんは住民で組織される管理組合の活動状況もチェックするよう助言する。議事録を見れば、理事会の頻度や活発なやり取りがなされているかどうか、不良入居者や修繕積立金の滞納者がいるかどうかもわかる。

 また、30年が交換の目安とされる電気の配線や上下水道の配管についても要チェックだ。リフォームやリノベーションを自分で行う場合は、業者選びにも注意が必要になる。リフォームサイト「リノコ」を運営するセカイエの東貴士EC事業部長は、こう指摘する。

「リフォーム代には一定の相場はあるが、相見積もりでなければ高めの料金を提示されがち。かといって極端に安い業者を選ぶと、後から追加請求されることも。リフォーム業は参入障壁が低く、日曜大工の延長のような質の低い業者も実際にある」

 玉石混交の中古マンション。賢く選べば宝をつかむことも可能なのだ。

(ライター・森田悦子)

AERA 2017年5月29日号