「自分では、20年という時の流れについての映画だと思っていたんだ。ところが編集して見直してみたら、映画全体が『男とは何か』を描いていると感じたんだ。そんなことはまったく意識していなかったのに、すべてのシーンがその命題にあふれていた。もう一度若いころのように生きようと必死でもがくのに満たされない。父親としても失格。子どもたちにも見放された中年にとっての『男とは何か』という映画になっていたんだ」

●父を理解する手がかり

 物語の舞台となる現在のエディンバラは20年の間に激変。街も周囲も発展したのに、4人だけが時代に取り残されたのだ。キラキラした街とそうではない4人の対比が、なんとも切ない。

「イギリスにはヨーロッパ大陸からの移民が大勢いる。キルトをはいたスロベニア人の女性が主人公を“スコットランドへようこそ”と迎えるオープニングは冗談なんだけれど(笑)。仲間のガールフレンドがブルガリア人だったりね」

 これが現在のエディンバラの実像だ。現代の若者たちにとって、この続編はどんな存在になるのだろうか。

「彼らの父親世代は、クラブやドラッグ、セックスの文化を謳歌したアイコニックな存在だった。父親たちのその後を理解する『手がかり』になるんじゃないかな」

(ライター・高野裕子)

AERA 2017年4月3日号