「会社が成長していく中で、社員同士なのに話したことがない、顔も知らないというケースが増えましたが、仮装がきっかけで気さくに交流できる雰囲気が生まれています。結果、仕事上のコミュニケーションが円滑になるというメリットも」(同社広報)

 ツイッターにも、「ある外資系の会社に打ち合わせに行ったら、バットマンとスーパーマンが席について普通に仕事していた」「前の会社で、40オーバーのオッチャンたちでJKコスプレし道頓堀を練り歩いた」といった投稿が。「会社の決まり」という“言い訳”が、気後れしていたオジサンたちに、コスプレ界へデビューするきっかけを与えているのかもしれない。

 一方で、ブームに乗るのを諦めた人も。コラムニストの辛酸なめ子さんは去年、仮装して走る「ハロウィーンラン」に参加した。ところが周りは“ガチのコスプレ”で走る気がなく、仲間同士ではしゃいでいる人ばかり。ランニングウェアに魔女の帽子をかぶり、一人真剣に走っていた辛酸さんは「完全にアウェー」だったという。

●イースターもブレーク!?
「仲間と一緒が当然、みたいな風潮で、かつてのクリスマスみたいに『一人で過ごすなんて』という圧がすごい」(辛酸さん)

 さらに、若者の仮装にゾンビや血まみれの花嫁などがはやっていることに、こんな分析も。

「幸せだからこそ不幸な姿ができる。一緒に騒ぐ仲間がいる、リア充など、心に余裕がある証しではないでしょうか」

 今年は10月31日が月曜ということもあり「ここ数年ほどの盛り上がりはないだろう」と前出の原田さん。また、地方や一般家庭にまで普及したことで、今後は「徐々に普通の年中行事として落ち着いていくのでは」。

 ちなみに、原田さんが予測するパリピ発信で次にブレークしそうなのは、キリストの復活祭「イースター」だとか。数年後の春先、卵コスやウサギコスのパリピが渋谷や六本木を大挙して練り歩いている……かも!?(ライター・中津海麻子)

AERA 2016年11月7日号