そんなAIができ、そこにロボットという体がつけば、山田胡瓜さんの漫画に登場するヒューマノイドの原型になるだろう。私たちがヒューマノイドと共生する日も、遠い未来ではないのかもしれない。(編集部・石臥薫子)

【AIを読み解くためのキーワード】

<機械学習>
コンピューターが、既存のデータの中にあるパターンを学習し、まだ見ぬ新しいデータについて予測するためのルールを見つけ出すこと

<ディープラーニング(深層学習)>
脳の神経回路を模したニューラルネットワークによる学習方法。2010年代に入って急速に進化した。人間が教えていた特徴量(例えばを認識するには、どんな特徴に注目すべきか)を機械が自分で発見できる。先行しているのは画像・音声認識。今後期待されるのは「自然言語処理」の分野

<モラベックのパラドックス>
AIは、大人のように論理的思考や高度な推論をするのは得意だが、子どもができるような顔の認識や、ものを掴むといった運動が苦手という逆説。大人の領域を極めたのが「特化型AI」で、IBMが開発したワトソンが有名。アルファ碁も碁しかできないという点では特化型だが、その学習法「ディープラーニング」が、幅広いことができる汎用AI実現への突破口を開くと期待されている

<シンギュラリティ>
コンピューターの知能が人間の知能を超える技術的特異点。それ以降の発明などはすべてAIが担うようになるとされる。米国のコンピューター研究者レイ・カーツワイル氏は、2045年に到来すると予測。コントロール不能になったAIが人類を滅ぼすと危惧する声も

<AIと仕事>
単純な仕事ほどAIに代替されやすいと言われてきたが、報酬が高く「知的労働」とされてきた金融や会計、法務の分野でもAIは急速に浸透している。AI時代には必要とされる仕事の中身が変わってくるため、対応できない人は失業。格差が拡大するとの指摘もある。一方で、人口が減る日本では、経済を維持するためにはAIやロボットで労働力不足を補うほかないとも

東大発 AIベンチャー>
覇権争いが激しさを増すAIの分野で、世界から注目を集める東大発のベンチャー、プリファード・ネットワークス。ディープラーニングで高い技術を持ち、トヨタやファナックも出資する。アマゾンが先日開いた国際大会では、様々な形状のモノを認識し、ロボットアームでつまみあげる技術を競う部門で2位に食い込んだ

AERA 2016年8月22日号