今は毎日ていねいなブラッシングに励み、定期受診をしている。「1回目のお見合いの後も断られなくなりました」(男性)

●糖尿病悪化の原因にも

「たかが歯の不調」と考えがちな歯周病だが、さまざまな場面で人生を変える可能性があると知るべきだ。例えば、大手企業の人事担当者はこう明かす。

「採用面接でも歯は結構、見ていますよ。見た目に加え、健康管理ができる人かどうかの判断材料になりますから。営業や広報など顧客相手の仕事は、ひどい口臭がある人や歯が抜けている人では会社のイメージが悪くなるので外す場合もあります」

 さらに歯周病が恐ろしいのは、歯周病菌や菌が作り出す毒素、炎症性の物質などが血流に乗り、体のあちこちで悪さをすることだ。脳梗塞や狭心症といった循環器病などを悪化させることがわかっている。

 東京医科歯科大学歯学部附属病院・歯周病外来の和泉雄一教授はこう指摘する。

「特に糖尿病は歯周病と密接に関連していて、片方の治療をおろそかにすればもう一方も悪くなる。同時にしっかり治療することが大事です」

 加えて、和泉さんが強調するのが、歯周病=中高年齢者の病気、ではないこと。30~40代にも多く、早ければ10代で発症することもあるという。

「10年後、20年後に後悔しないように、歯肉のむずがゆさやブラッシング時の出血などの初期症状に気づいたら、早めの受診を」(和泉さん)

 芸能人じゃなくたって、「歯は命」なのだ。(ライター・谷わこ)

AERA  2016年7月4日号