オフィスの一角で開かれるLiBのパーリー(写真:LiB提供)
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オフィスの一角で開かれるLiBのパーリー(写真:LiB提供)
餅つきのときは、粉が飛ぶなどの「被害」も出て、残念ながら一度で中止になった(写真:LiB提供)
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餅つきのときは、粉が飛ぶなどの「被害」も出て、残念ながら一度で中止になった(写真:LiB提供)

 ハロウィーンから音楽イベント。企業や地域、学生も……。都市のあらゆる場所で生まれては消える「パーリー」。それはビジネスの現場にも広がっている。

 イベントなどで集まり、楽しむ人々のことを指す言葉として、最近「パリピ」という言葉が出てきた。「パーティーピープル」の略なのだが、クラブDJの発音が「パーリーピーポー」と聞こえることから、広まった。

そんな「パーリー」力は、ビジネスの現場でも活用され始めている。転職支援サービスの「LiB(リブ)」は、創業から2年も経たないベンチャーだ。ここでは、月に1回、社内外の人が一緒にパーリーをする。

 仕事の現場で、なんだってパーリーなんですか。社長の松本洋介さん(36)によれば、会社のミッションを説明するため、みんなでシェアできる場が必要だったから。

 リブの顧客は主に女性。出産などで、働く条件が制限される人に仕事を紹介する一方で、企業サイドに多様な働き方の提案もする。

 誰かを支えながら、働ける世の中に。まさに正論だ。だが、良薬は口に苦し。正攻法では伝わらない、かもしれない。でも、パーティーという楽しい場なら、社内外のみんながリラックスできる。話も弾む。聞いてもらえる。

「我々は、仕事を通じて社会に大きなうねりを起こしたい。仲間が要る」(松本さん)

 だから、料理をかこんで輪を広げよう。料理は、フレンチやイタリアンでもよかったが、なんだかそれではカッコよすぎないか。結局、おでん屋が実家の役員がいて、鍋になった。

 おでんを継続するなかで感じるのは、肩ひじをはらないで済む点だ。夏は流しそうめん、冬には餅つきも入れ、飽きさせない工夫も凝らす。

 ビジネスの進行報告だって、和やかに受けとめてもらえる。サイトの登録会員が増えたときには、拍手喝采が起きた。応援モードの熱量が生まれる。

 転職活動中だった内川智子さん(27)は、そんな熱に引かれた一人だ。パーリーに参加したのは1年前。リブの役員に誘われてやってきたら、当時の会場はマンションの一室。中には40人もいて、「窓を全開にしないと曇る」ほど。そんなとき、

「今月のMVPはこの方!」

 20代の女性社員が紹介された。リブでは毎月1人のMVPを選ぶが、その発表を社外のゲストがいる中で行う。

「仕事って、こんなにダイナミックに進むんだ」

 内川さんは、大手5社の内定を蹴って、リブに就職した。給料や福利厚生より、パーリーで感じた熱に引かれたのだ。

AERA 2015年11月30日号より抜粋