「何歳になっても新しいことに挑戦できる。そんな環境で働きたいと思ったんです」

 今年9月の北関東・東北豪雨で、初めて災害派遣の前線に立った。決壊した堤防の修復作業をしながら、かつて訪ねた東北の被災地のことを思い出した。

「先輩がどんなことをしてきたか、この目で見たいと思って東北に行ったんです。このとき、自衛隊員として働く意味を知った気がします」

 四つのベッドがしつらえられた4人部屋が、災害現場や演習場での緊張から解放される安らぎの場だ。ベッドでゴロゴロしながら、仲間と週末の予定を立てるのが楽しい。足りないものがあるとすれば、恋人くらい。

 いつか、理想の相手と温泉旅館でゆっくりしたい。週末、肩寄せて駐屯地を出るカップルに、自分の将来像を重ねてみる。

AERA 2015年11月16日号より抜粋