患者の尿に群がる「線虫」 がんを9割以上の正確さで発見 (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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患者の尿に群がる「線虫」 がんを9割以上の正確さで発見

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シャーレの左端の×印にがん患者の尿を10倍に薄めて垂らすと、線虫が集まってくる。この誘引行動を利用すれば、早期がんも発見可能だという(写真:廣津崇亮さん提供)

シャーレの左端の×印にがん患者の尿を10倍に薄めて垂らすと、線虫が集まってくる。この誘引行動を利用すれば、早期がんも発見可能だという(写真:廣津崇亮さん提供)

九州大学大学院教授廣津崇亮さん(43)ひろつ・たかあき/山口県出身。東京大学大学院理学系研究科修了。理学博士。2005年から九州大学院の教員となり、11年から研究室を主宰している(撮影/熊谷わこ)

九州大学大学院教授
廣津崇亮
さん(43)
ひろつ・たかあき/山口県出身。東京大学大学院理学系研究科修了。理学博士。2005年から九州大学院の教員となり、11年から研究室を主宰している(撮影/熊谷わこ)

 そこで「犬よりも嗅覚が発達した線虫も、がんの嗅ぎ分けができるのではないか」と考えた。シー・エレガンスなら土の中にいくらでもいるし、簡単に増やすこともできる。

 がんがあるかどうかを調べるとなると、人間から容易に採取できる「嗅ぎ分け用の何か」が必要だ。候補として挙がった血液と尿のうち、より簡単に苦痛なく採取できる「尿」に着目。期待を込めて尿を垂らしてみたが、はたして線虫はほとんど反応しなかった。

 しかし廣津さんはあきらめなかった。これまで積み重ねてきた膨大な基礎研究の結果から、線虫のにおいの好みには「においの濃さ」が大きく関わっているとわかっていたからだ。

「においは『いいにおい』と『嫌なにおい』に大きく分けられます。例えばジャスミンやオレンジの花はいいにおいがしますが、これはインドールというにおい成分が薄まった状態で花に含まれているから。しかしインドールは濃い状態だと、ウンチのにおいがするんです。香水だってスプレーでふわっと霧状にすればいいにおいですけど、原液のままだとむせ返るような強烈なにおいがしますよね。尿も薄めれば、線虫が好むにおいになるかもしれないと考えました」

 さまざまな濃度に薄めた尿で実験を繰り返したところ、線虫は10倍に薄めた尿のにおいを最も好むことを突き止めた。

「線虫ががん患者の10倍希釈の尿に寄っていったときの感動は、忘れることができません」

AERA 2015年9月7日号より抜粋


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