「公立なので国公立大志望者が多い。研究論文に取り組むことで、大学で学びたいことがわかり『◯◯大学の△△学部に進学したい』と、志望が明確になる生徒が多いですね」(同)

 1901年に東京府立三中として設立され、芥川龍之介や堀辰雄らが卒業したことで知られる伝統校、都立両国(墨田区)。附属中は2006年に開校した。

 桜修館が高校からの募集を行わない中等教育学校であるのに対し、両国は附属中の1学年120人に、高校入試で80人が加わる「併設型」だ。

 中高一貫校では、5年間で6年分の勉強を終える「先取り学習」をウリにするところが多いが、両国は中学入学組と高校入学組を同じ教室、同じ進度で学ばせる。先取り学習は、成績下位層に敗北感を抱かせ、自己肯定感を低めてしまうからだ。

「中学では基礎・基本を徹底し、焦らずにのびのび学べるからこそ、高校で勝負ができる。(高校入学組と)互いに切磋琢磨でき、高3では『チーム両国』としてみんなで受験勉強を頑張る雰囲気が生まれるのです」(大井俊博校長)

 その成果は数字に表れている。今春の卒業生の4年制大学現役進学率は85.9%、現役での国公立大進学率も31.2%と高い。

AERA 2015年7月27日号より抜粋