●ワーママ国際線CA

 仕事でも家庭でも分刻み生活が続くのは、全日本空輸(ANA)の客室乗務員、臼井優江さん(42)だ。

 国際線、国内線と乗務をこなしながら、小学1年生の女の子を育てる。取材したこの日も、朝5時に子どもの弁当を作って出社し、羽田─小松間を往復した。月に10日前後は、子育てを1級建築士の夫やシッターに託して、海外へ。例えばパリなら2泊4日、片道12時間を超えるフライト。機内では時差に加え、重たい荷物を持ち上げるため、腰痛に悩まされる。

「とにかく基礎体力がないと、調子が出ないし、いいサービスにもつながらない。健康とスタミナだけは日ごろから維持するように心がけています」

●娘とバレエで競う

 モットーは、食べたいものを食べる。疲れたときは肉を、それ以上に野菜を。野菜ジュースはスーツケースに常備している。

 いまハマっているのが、中学3年生のとき以来という「バレエ」だ。週2時間のレッスンに通い始めて3カ月になる。
「スポーツジムの単調な運動と違って、バレエは丁寧に教えてもらえるのが楽しくて、ストレス解消にも役立っています」

 思いっきり汗をかき、日ごろ使わない筋肉を動かすことで、血の巡りや新陳代謝が良くなっている。同じ教室に通う娘とは、家で立ち方や動きを教え合う“良きライバル”。

「今はどちらが先にトゥシューズを履けるようになるかを競い合っているところです」

 不規則な生活の中では、子どもと向き合う時間も簡単には取れない。娘は、今では仕事と家庭との両立生活を応援してくれるが、難しい時期もあった。

「私がやってこられたのも周囲の理解と協力があったから。私がいないときは主人が代わりに娘のお弁当を作ってくれて、家事も快く引き受けてくれます」

 どんなに疲れて帰宅しても、娘の寝顔が臼井さんを一番元気にしてくれるという。

●邪魔されない時間

 通常の仕事に加えボランティア活動もする、プロボノワーカーの西山典仁さん(42)は、一日のうち「唯一誰にも邪魔されない時間」を健康のために使う。早朝5時に起きだし、平日は7~8キロ、休日は30キロを走り込む。小学生の頃から続ける腹筋と背筋も欠かさない。

 日中は人材育成支援会社でマーケティングを担当。退社後は、そのスキルを生かして、障害者スポーツを支援するNPO法人「パラリンピックキャラバン」の立ち上げに関わる。

 家庭では共働きの妻との間に2女。育児のほか、洗濯や食器洗いなどの家事も当たり前にこなす。忙しい毎日の中で目を付けた時間が早朝だった。

「2年前に子どもを保育園に送る役目が終わって、40歳という人生の節目に何かしたいなと思った。職場でも地域でも家庭でも、多様な役割を生かして、日常を輝かせることが僕ら団塊ジュニアの務め。アスリートとしても頑張ってみようかなと」

 子どもの保育園時代のパパ友と一緒に走ったり、駅伝大会に出たりすることも、いいモチベーションにつながっている。

 この2年間で3回のフルマラソンに挑戦。今年の東京マラソンでは2時間55分をマーク、目標の3時間を切った。走り過ぎてケガをしたこともある。いまは、体調と相談しながらバランスよく走ることを考えている。

■記者もハマっています
リアルに歩き回るゲームでダイエット効果は?

 グーグルが提供する最新ゲーム「Ingress」がダイエットに効くと聞いたのは先月。ゲーム経験はゲームボーイどまりで、それほどゲーム好きではなかったが、最近運動不足だし、と思い、始めてみたら見事にハマった。

 このゲーム、従来のゲームとは大きく違い、家にいても何もできない。現実世界と位置情報がリンクしている陣取りゲームなので、外に出て歩き回らないことには、何も始まらないのだ。

 世界が青と緑のチームに二分されていて、どちらか好きなほうを選んだらゲーム開始だ。街を歩き回り、「ポータル」と呼ばれる、駅や神社、公園の遊具や街角のモニュメントに画面上でタッチしていく。それがポイントとなり、レベルが上がると、敵のポータルを攻撃したり、自分の陣地にしたりできる。

 ポータルが密集していてプレーヤーが多く訪れる地域では、陣地は日に何度も取ったり取られたりを繰り返す。自分が取ったばかりの陣地が攻撃され、「むっ、近くに敵がいるな?」と辺りを見回すことも。狙ったポータルを目指して歩くうちに、こんな店があったのか、とリアルな新しい発見をすることも楽しみだ。

 休日には予備の充電バッテリーを持って家を出て、ふと気づけば3時間。余裕があるときには、仕事のついでに会社周辺や出先でもポータルを巡回する。スニーカーをはく日が増えた。

 なぜかダイエット効果はまだ出ていない。効率的にポータルを回ろうと自転車を使い始めたからだろうか。

 グーグルのアカウントがあれば始められるが、個人の位置情報がかなり詳細に特定される心配があるので、始める際は専用アカウントをつくるのがオススメだ。(編集部・高橋有紀)

AERA  2014年9月29日号