新築マンションが溢れる中、ユーザーにとってモデルルームは物件の情報収集の宝庫だ。合計2万7千組を超える住宅を診断してきた、さくら事務所(東京都渋谷区)で、コンサルタントを務める1級建築士の辻優子氏によると、「住宅性能評価書」という資料が置かれているケースが増えている。国土交通省に登録された民間の住宅性能評価機関が評価した、「構造の安定性」「火災時の安全性」「土台や柱の劣化対策」など10項目からなり、等級や数字で表示される。いわば物件の通知表だ。

 住宅性能評価書の取得にあたっては、設計図段階でのスペック検査、それが絵に描いたになっていないかを物件を抜粋で確認する現場検査など、数工程ある。「劣化対策等級」(構造躯体の耐久性)は、等級が1~3まであり、建築基準法で定めた基準が等級1で25~30年、等級2なら50~60年(2世代)、最高の等級3なら75~90年(3世代)と分かれている。

「玄関の床が大理石といった部屋の仕様は物件ごとに差異がなくても、劣化対策や耐震性の等級が異なる場合があります。『見た目ではわからない建物の性能にランクがある』ことは知っておいた方がいい」(辻氏)

 モデルルームで住宅性能評価書の写しをもらい、物件ごとに等級を比較するのも重要な判断材料の一つとなる。

AERA 2014年4月21日号より抜粋