早稲田大学田無学生寮でのグループディスカッションの様子。新しくできる国際学生寮では、大浴場やフィットネスルーム、共同リビングなど交流スペースを増やした(写真/早稲田大学提供)
早稲田大学
田無学生寮でのグループディスカッションの様子。新しくできる国際学生寮では、大浴場やフィットネスルーム、共同リビングなど交流スペースを増やした(写真/早稲田大学提供)

 難関大学に合格したからといって、喜んでばかりもいられない昨今の就職事情。有名大学の中にはユニークな取り組みを行っているところもある。

「バンカラ」「8年生」などといったイメージを持たれやすい早稲田大学が、支援を強めている。低学年向けに内定者やOB・OGを招いたセミナーを実施したり、キャリアを考えるためのハンドブックを配布したり、2010年からは4年間で卒業させるよう指導を強める方針を打ち出したりしている。

 特に力を入れているのは、グローバル人材教育だ。日本人と外国人が共同生活を送る「国際学生寮WISH」を2014年3月、東京・中野にオープン予定。872人収容できる、都内最大規模の学生寮で、将来的に寮生の半分を外国人にすることを目指す。

 現在は直営の「田無学生寮」で国際交流の場を提供している。外国人留学生と日本人学生によるグループディスカッションを土日を除いて毎日開くほか、共同キッチンを使った自炊生活、七夕やクリスマスなどの寮内イベントなどがある。下級生の世話役として寮に住む証券大手の内定者・日髙匡さん(22)は言う。

「寮内でのディスカッションは、就職活動時のグループディスカッションに生かせました。サークルよりもタテとヨコのつながりが深くて、先輩に大学の授業や就職活動の相談に乗ってもらったことも助けになりました」

 授業ではどのような教育をしているのか。大学での学業が企業に評価される社会を目指して活動しているNPO法人DSSの調査でも「就職に強い」との評価を得ている政治経済学術院の白木三秀教授のゼミでは、普段の授業に加え、タイ、インドネシア、シンガポール、中国などアジアで海外合宿を行っている。13年はタイを訪問し、現地のタマサート大学の学生と交流し、企業も数社訪問・見学・質疑応答を行った。年に10~20社ほどの企業訪問や他大学とのディベート大会など、イベントも多い。

AERA 2013年12月30日-2014年1月6日号より抜粋