田中真紀子文部科学大臣 (c)朝日新聞社 @@写禁
田中真紀子文部科学大臣 (c)朝日新聞社 @@写禁

 田中真紀子氏(68)が10年ぶりに大臣席に戻ってきた。論功行賞ばかりが目立つ内閣改造の中で、「サプライズ」として文部科学相に起用された。

 実は文科省は真紀子氏の得意分野だ。1994年の村山内閣では、前身の一つ、科学技術庁の長官として初入閣。脳梗塞に倒れた角栄氏の介護をした経験から、小中学校の教員免許取得に「介護実習」を義務づける法律を議員立法で成立させたこともある。昨年まで衆院文部科学委員長も務めた。

 けれども周囲の受け止めは総じて厳しい。

「官僚や秘書をいじめ抜いた彼女が、いじめ問題を解決できるのか。文科省の役人がかわいそう」(民主党関係者)と、身内からも危ぶむ声が相次ぐ始末だ。

 何しろ、小泉内閣での外相当時の逸話は今も記憶に新しい。「外務省は伏魔殿」と改革に着手したまではよかったが、その後は官僚と対立してばかり。指輪をなくしたと言っては外国政府要人との会談に遅刻し、ついに更迭された。

 本人も十分わかっているのだろう。就任後の幹部職員へのあいさつでは「役所と対立しようなんて全然思っていません。いつぞやは、たまたま運が悪かった」と、「真紀子節」を封印した。

 それでも教育評論家の尾木直樹氏はこんな期待を寄せる。

「人をいじめちゃうところは反省しているはず。むしろ、教育委員会はひどいとか、直感力や判断力は確かだと思う。実態をどんどん国民に発信してほしい。少なくとも3、4カ月は続けてほしいですね」

AERA 2012年10月15日号