8月1日に発売されるやいなや、メディアでも大々的に取り上げられ、話題を呼んだ『M 愛すべき人がいて』。ノンフィクション作家の小松成美さんが歌手・浜崎あゆみさんへの取材をもとに、歌姫としてスターダムに駆け上る過程や運命的な男性との恋愛秘話を描いた一冊となっており、初週で3.8万部を売り上げるヒットを記録しています。
 「事実に基づくフィクション」としながらも、最後のページでは浜崎あゆみさんによる「自分の身を滅ぼすほど、ひとりの男性を愛しました」との文章を掲載している本書。この"ひとりの男性"が現・エイベックス会長の松浦勝人氏であることは本書でも実名で明かされており、"一時代を築いた音楽プロデューサーと歌姫の恋愛"といった暴露本的な意味合いで、興味をそそられ購入した人も多そうです。
 さて、内容についてですが、本書は「私は」という"あゆ(浜崎あゆみさん)"目線で情感たっぷりに書かれており、小説のような体裁で進んでいきます。展開もたいへんドラマチック。17歳のときに六本木のクラブ「ヴェルファーレ」のVIPルームで初めて松浦氏と出会い、「大丈夫、俺を信じろ」という松浦氏の言葉にしたがって歌手デビュー。ある日突然、「あゆ、ニューヨークへ行ってこい」と松浦氏に告げられ、単身でボイストレーニングに赴くことに。デビュー後、ハイスピードで変わっていく環境の中、松浦氏への恋心を打ち明ける"あゆ"。松浦氏はその思いに応え、"あゆ"の母親に「あゆみさんと付き合っています。真剣です」と交際宣言し、そのままふたりフェラーリに乗ってドライブに繰り出す......もう読んでいて、すべてがドラマの1シーンのように脳内に浮かび上がります!
 ここでひとつ重要なポイントとしてあるのは、こうした松浦氏への思いがすべて彼女の楽曲の歌詞になっていたという点。松浦氏とのエピソードの合間合間に"あゆ"の歌詞が挟まれ、「この曲を作詞したときは、松浦氏とこういう状況だったのか」「こんな思いを抱えていたときに生まれた歌だったのか」と読者は知らされることとなります。
 なお、本書は2020年春に連続ドラマ化との報道も。誰が"あゆ"を演じるのか、どんな演出がされるのかなど、今後もまだまだ注目が集まることとなりそうです。