成河(ソンハ)/ 1981年生まれ。東京都出身。法政大学在学中に、東京大学駒場キャンパス内の演劇サークルで演劇を始める。「★☆北区つかこうへい劇団」10期生。平成20年度文化庁芸術祭演劇部門新人賞、第18回読売演劇大賞・優秀男優賞、第57回紀伊國屋演劇賞個人賞など、受賞歴多数。(撮影/戸嶋日菜乃 ヘアメイク/大宝みゆき)
成河(ソンハ)/ 1981年生まれ。東京都出身。法政大学在学中に、東京大学駒場キャンパス内の演劇サークルで演劇を始める。「★☆北区つかこうへい劇団」10期生。平成20年度文化庁芸術祭演劇部門新人賞、第18回読売演劇大賞・優秀男優賞、第57回紀伊國屋演劇賞個人賞など、受賞歴多数。(撮影/戸嶋日菜乃 ヘアメイク/大宝みゆき)

 話題作・問題作にこの人あり。俳優・成河さんは演劇のジャンルを軽々と飛び越えながら、「僕の芝居の最終目的地は舞台」と軽やかに宣言し、若手に演劇で生きていくことの素晴らしさを背中で示す。

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■全ジャンルを網羅する役者に

 演劇界の“総合格闘家”を目指しているという。

 今年2~3月は、木ノ下裕一さんが主宰する「木ノ下歌舞伎」の「桜姫東文章」で主役の清玄・権助(2役)を演じ、全国5都市を回った。それが終わると、25日までPARCO劇場で上演中の舞台「ラビット・ホール」の稽古に入り、それでも5月半ばまで全国4都市を回る。6月からは音楽劇「ある馬の物語」の本番。夏には再びPARCO劇場での「桜の園」が控え、11月には、イスラエル人のインバル・ピントさんが演出・振付・美術を担当する「ねじまき鳥クロニクル」で主演を務めることが決まっている。さまざまなジャンルの作品で縦横無尽の活躍を見せる、稀有な俳優である。

「自分で言うのも何ですが、『この企画、大丈夫?』という、意欲的な舞台作品に呼ばれがちな傾向はありますね(笑)。ミュージカルならミュージカル、会話劇なら会話劇、コメディーならコメディーとか、各ジャンルに僕より秀でた人ならいくらでもいると思うんですが、僕の場合、まだ誰も見たことがないような作品の現場に呼んでいただくことがいちばんうれしいです。『成河ならコレ!』という売りがあるわけではないけれど、だからこそ今までになかったジャンルや奇抜なことにも挑戦できると思う。そういう意味で、演劇界の総合格闘家を目指したいんです」

 大学で演劇を始めたのが20年と少し前のこと。本人は、当時のことを「小劇場ブームの最後の最後」と表現する。

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