プロレスデビューを果たした飯島さん
プロレスデビューを果たした飯島さん

 いくら「嘘(うそ)をついてもいい日」なんて言われても、嘘には抵抗感がある。だからなのか、4月1日には嘘でなく、夢を語ろうという動きが広まりつつある。この日に夢を語り、見事に実現させた人に話を聞いた。

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 3月下旬、全国8地区の地方都市駅に、たくさんの桜の花が描かれた大きな掲示板が設置された。たとえば名古屋駅、地下鉄南改札近くに置かれた掲示板の桜の花ひとつひとつには「子育て支援のNPOを立ち上げたい」「卵殻彫刻を広めたい」「月で絵を描きたい」といった夢が書かれている。

 これはプレスリリース配信サービスを展開する「PR TIMES」が2020年から提唱している「エイプリルドリーム」という試み。4月1日を「エイプリルフール=嘘をついてもいい日」ではなく、「夢を語る日」にしようというもので、今年は全国から2千を超える数の夢が寄せられた。各地の掲示板に、それぞれの夢が紹介されている。集まった夢はさまざまだ。

「ウルトラトレイル・マウントフジ2023(約165キロの山岳マラソン)で納得のいくゴールをしたい」という夢を送った人は、実現のため月に500キロ以上を走り込み、装備の見直しやコースの分析、食料選びなどをしている。ここまで頑張る理由は「7年前からランニングを始め、この大会を目標にしていた。完走することで、家族や応援してくれるたくさんの人に勇気や感動を与えたい」からだという。

 現在30歳で、武蔵野美術大学大学院に通っているという人の夢は「画家として生計を立てる」というもの。

「高校生のころから美大に進学し、絵を学びたいと思っていました。ですが、絵画では生計は成り立たないという周囲の言葉を真に受け、大学では建築を専攻し、8年ほど企業で働きましたが、どうしても絵のことが忘れられませんでした。働きながら学ぶことを検討し、武蔵野美術大学通信教育課程を卒業。この春から大学院生になりました。もっともっと絵を描いて、いろんな人に見ていただきたい」という。

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