角谷浩一(かくたに・こういち)写真左/ 1961年、神奈川県生まれ。政治ジャーナリスト。日本大学卒。東京タイムズを経て小学館「週刊ポスト」、テレビ朝日で政治を担当。テレビの情報番組などのコメンテーターとしても活躍中。有田芳生(ありた・よしふ)/ 1952年、京都府生まれ。フリージャーナリスト、前参院議員。立命館大学卒。統一教会、オウム真理教事件などの報道に携わる。政治家として北朝鮮拉致問題、ヘイトスピーチ問題などに取り組む。(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)
角谷浩一(かくたに・こういち)写真左/ 1961年、神奈川県生まれ。政治ジャーナリスト。日本大学卒。東京タイムズを経て小学館「週刊ポスト」、テレビ朝日で政治を担当。テレビの情報番組などのコメンテーターとしても活躍中。有田芳生(ありた・よしふ)/ 1952年、京都府生まれ。フリージャーナリスト、前参院議員。立命館大学卒。統一教会、オウム真理教事件などの報道に携わる。政治家として北朝鮮拉致問題、ヘイトスピーチ問題などに取り組む。(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)

 旧統一教会と自民党は関係を断ち切れるのか。長年、教団の問題を取材してきた前参議院議員の有田芳生さんと、政治ジャーナリストの角谷浩一さんが語り合った。

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有田:私は2009年に衆院選に立候補しました。東京11区で下村博文・元文科相と戦い、3千票余りの差で負けたんです。その時、統一教会の気配を感じたのですが、最近になってようやく実態が明らかになりました。教団から下村さんの選挙応援を指示されたという元信者から話を聞くことができたんです。選挙事務所に15人くらいで行って、みんなで有田批判のビラをポスティングしたといいます。「教団では、有田さんはサタンですから、一生懸命ビラをまきました」と(笑)。選挙応援の指示は毎日のように出て、重点的な選挙区を回ったそうです。翌10年の参院選では、山谷えり子・元国家公安委員長の応援をしたと証言する元信者もいますが、山谷さんはいまも「一切関係がない」と全面否定しています。

角谷:東京の選挙区で言えば、萩生田光一政調会長の地元・八王子(24区)も統一教会の重点エリアなんですか。

有田:私は全国あちこちの教会を見て回っているんですが、八王子の教会がずいぶんと立派なんです。前の八王子教会長は伝道教育局の幹部になっているのですが、その人の長女が文鮮明氏の孫と結婚しているんです。なぜ八王子なのか、不思議なんです。聖地になっているのかもしれません。

角谷:これから自民党の保守政治とは何だったのか、ということが問われてくると思う。中でも右派と呼ばれる人たちが統一教会と深い関係を持っていたことが明らかになり、その根幹が揺らいでいます。霊感商法や法外な献金など、日本で巻き上げたお金が韓国や北朝鮮、米国に送られている。彼らがよく使う「売国奴」という言葉は本来、誰に向けられるべきなのか。自民支持のある政治団体の幹部は「今までで一番質の悪い自民党のスキャンダルだ」と怒っていました。しかし、岸田文雄首相や茂木敏充幹事長はこの問題にあまりに鈍感です。今後、右派を支持していた言論人も俎上に載ってくるでしょう。

有田:お金の問題は本当に重要です。07年の教団の内部資料によると、毎月約15億円もの予算を計上しています。このうち国内の「対策費」が月に1億円。霊感商法などで抱えている裁判対策や、警察に強いパイプを持つ国会議員への対策に使われたと推測できますが、月1億円も使い切れるのか。言論対策があってもおかしくないですね。

 日本で集めたお金を海外に送金する際、どんなルートでなされていたのかも、あらためて検証が必要でしょう。

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