また、日大が“再生”した、と言える条件について、林氏は「志願者数をトップにすること」と話した。
林氏の推薦で、昭和女子大学キャリアカレッジ学院長の熊平美香氏と、医師の和田秀樹氏が理事に就任した。その理由を林氏はこう語った。
「和田秀樹さんは、20年来の友人で、学校改革にも明確な考えをお持ちの方。お話をしたところ、『ぜひ手伝いたい。一緒にやっていこう』と力強いお返事をいただいた。熊平さんは、ジェンダー、キャリア、教育関係にも造詣が深い。人柄もすばらしく、『日大の教育が変われば、日本の教育が変わるかもしれない』と本気で考えてくださっている。どちらも若く意欲がある方」
今回の人事で、理事22人のうち、9人が女性となった。「すばらしい人を推薦していただけた。とにかく日大には女性が少ない。そういうところから変えていきたい」と女性の登用を増やしていく考えも語った。
一方、この日は、教学面のトップである新学長も会見した。学長には元総長の酒井健夫氏(78)が就任した。酒井氏は、日大農獣医学部(現生物資源科学部)卒。同学部教授や学部長、副総長に就任。08~11年には同大の総長を務めた。
酒井氏は会見で、「管理運営の責任者は理事長。学長は教学の責任者。林さんと2人で車の両輪としてやっていく。林理事長と日本大学の再生という同じ目標に向かって進んでいく」と語った。
日大は、学生7万4千人、教職員4千人を抱えるマンモス大学だ。予算も巨額で、並みの上場企業や自治体よりも大きい。経営するのは簡単ではない。
林氏は経営について、「企業経営は何人かにお願いをしている。また、実務については、本部の中にも優れた事務方の人もおり、心配はしていない。『日大の中に素晴らしい人材がいる』ということを酒井学長もおっしゃっている。見極めながら、わたしたちの渦のなかに引き込んでいきたい」と語った。
任期は4年。林氏は、田中体制の”巨額の負債”を返済し、日大の改革を成し遂げることができるか。
(週刊朝日・唐澤俊介)