(新作「トップガン マーヴェリック」への思い)

「いろいろな国で『トップガン』の続編はいつなのか、とファンに質問をうけた。『サインしてくれ』と言って人が持ってくるDVDの幅は広いし、どんな映画を好きになってもらったのかを知ることができるのは実に興味深い。どうして好きなのか、ファンの口から聞けるのも楽しい。美しい体験だよ。 

 86年に続編の話がきたが、僕はまだやれないと感じた。アーティストとして自分が成長しなければ続編は作れないと思ったんだ。『ミッション:インポッシブル』の制作から学んだことは、続編を作ることで観客と会話の機会ができるという事。続編を作ることでキャラクターの情報が蓄積されていくのだと。『トップガン』もそう。観客を満足させるために、まずはどんなことができるかを書き出すことからやった。それを達成するために、どんな方法でいかにするかを(プロデューサーの)ジェリー・ブラッカイマーと話し合ったり。ファンを落胆させたくなかったんだよ。だから時間がかかったんだ」 

(コロナ時、オンライン公開を考えたか?) 

「それはありえない。絶対に!映画館で観てもらいたい。皆が一体化できるからだよ。言語も文化も違う僕らが、映画というひとつのコミュニティーになれる。体験を共有できる。僕の場合大きなスクリーンのために映画を作っている。オープニングの興行成績を気にしているのではなく、長い間楽しんでもらえる映画を作りたいと思っている。 

 テレビと長編映画では、脚本に全く異なるスキルが必要とされる。撮影から観客とのコミュニケーションの方法まで、ステージと同じであり、大きさによって撮り方が変わってくる。シネマが僕の最愛の媒体なんだ。映画は劇場に必ず見に行く。帽子をかぶって目立たないように、観客にこっそり混じって皆と見る。予告編から一緒にね」

「トップガン マーヴェリック」 TOHOシネマズ日比谷ほかで上映中

(高野裕子)

 ※週刊朝日オンライン限定記事