次代を担う三山ひろし(撮影・横関一浩)
次代を担う三山ひろし(撮影・横関一浩)

 第1世代は春日八郎や三橋美智也のラジオ世代、第2世代は戦後歌謡の美空ひばりや島倉千代子、北島三郎と五木ひろしは歌謡曲が隆盛を迎えた第3世代に属する。第4世代はカラオケ時代の八代亜紀、吉幾三、石川さゆり、細川たかしなどで、第5世代には氷川きよしや水森かおりがいる。

 第6世代の山内と三山は、ともに15年から7年連続で紅白に出場している若手のホープ。コンサートなどで熱狂的な“追っかけ”ファンが多数いる点も同じ。どちらも歌唱力には定評があり、甘いマスクの山内には昔のアイドルのような掛け声が飛び、三山は紅白でのけん玉ギネス挑戦などで、ともに知名度も高い。

 だが、2人が北島・五木のような「キング」になれるかというと、まだ疑問符が付く。

 取材した多くの演歌関係者が指摘するのは「誰もが知っているような大ヒット曲、歌い手の“看板”になるような持ち歌がない。最低でもレコード大賞受賞に匹敵するようなヒット曲が必要」という点だ。

 前出のプロモーター氏は「そもそも山内も三山も、そして福田こうへいも自分が今後の演歌界を引っ張っていくなんて、思ってもいないのではないか」と話す。

「仮に自分が引っ張っていきたいなんて発言したら、猛反発を受けますよ。まだ若すぎます。間違いなく『生意気だ』と総スカンを食らいますね。『お前はあと10年、今の位置を保てると思っているのか?』となる。甘くない世界だし、上下関係も厳しい社会だとは、本人たちもよく知っている。氷川君だって、僕はまだ早いと思うくらいです。北島さんや五木さんのような大御所はもう現れない可能性だってあると思っています」(プロモーター氏)

 東京・上野アメ横で53年間、演歌専門のレコード店「アメ横リズム」を営む代表の小林和彦さんは、それでも「将来の演歌のキング候補はすでにいる」と断言する。リズムでは毎週、小林さんが選んだ5曲を道行く人々に聞こえるようにかけ続けている。前を通る人々がその歌を耳にしたときの反応で、これから売れる曲や歌い手を的中させてきた。その小林さんがずばり、「次の時代を背負う人材」と太鼓判を押すのが真田ナオキだ。

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