別の条件を挙げて、細川、吉の2人に期待するという意見もある。東京・浅草のレコード店「ヨーロー堂」店主の松永好司さんだ。店の2階にあるステージでは、多くの演歌歌手が生歌を披露するキャンペーンをしており、店主は業界きっての演歌通である。

バラエティー色が強い吉幾三は「重みが足りない」の評も
バラエティー色が強い吉幾三は「重みが足りない」の評も

「僕は北島さんや五木さんがリーダーたり得たのは、後輩の育成に熱心だったからだと思う」

 松永さんが指摘するとおり、北島は山本譲二を筆頭に、紅白出場も果たした「北島兄弟」の北山たけし&大江裕ら多くの弟子を育てた。五木も、座長公演で多くの若手をゲストに呼び、「この場を登竜門にしてほしい」とチャンスを与え続けている。

「細川たかしさんは彩青(りゅうせい)や杜(もり)このみなどの弟子を自分の事務所からデビューさせています。育成への気概がある人です。吉幾三さんも多くの若手演歌歌手に楽曲を提供することで育成に携わっています。リーダーの資格は十分あると思います」

 冒頭の芸能記者も同じ考えだ。

「僕自身が期待しているのは吉幾三。やはり人気や知名度、ヒット曲もあり、過去には紅白に連続出場している。ただ、吉にはどうしても喜劇やバラエティーのイメージが付きまとい、キングとしては軽量級に見えてしまうのが最大のネックです。細川も、お笑い芸人から髪形とかで笑いのネタにされているせいで重量感がない。そう考えていくと、若手に期待するしかない」

 現状では「紅白出場を続けている『演歌第6世代』の山内惠介と三山ひろしのどちらかに頑張ってもらうしかない」と話す一方で、「僕個人の期待としては、福田こうへい。歌のうまさは群を抜いていると思う」とも述べた。

次代を担う山内惠介(撮影・横関一浩)
次代を担う山内惠介(撮影・横関一浩)

 ヨーロー堂の松永さんは「現在の実力という点では、山内さんと三山さんが次期リーダー候補の筆頭であることは間違いない」と話す。

 ちなみに演歌の「第6世代」とは、21世紀になってデビューした個性派世代で、純烈や丘みどりなどが属する。

次のページ