一方、コスト増の圧力が比較的弱いと小林さんがみているのは、ヤクルト本社、ピックルスコーポレーション。ピックルスはキムチなどの野菜漬物会社で、葉物野菜はそれほど価格が高騰していないという。

 医薬品会社も、景気動向に左右されにくいとして、小林さんは武田薬品工業を挙げる。

 かつては円安で輸出企業の株価が上昇したが、最近は海外への生産シフトなど為替変動への対応が進み、株価もそれほど反応しなくなったと指摘するのは、マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆さん。いまの円安について、広木さんは「実質実効為替レートでみて50年ぶりの円安」と話す。実質実効為替レートとは、対象となる全通貨と日本円との2通貨間為替レートを貿易額などで測った相対的な重要度でウェートづけして算出する。

 広木さんは、円安効果が得やすい外貨建て資産への投資がおもしろいとみている。例えば、米国株投資だ。一方で、「金融市場は米国の利上げを相当織り込んでいる。これ以上は織り込みにくい。日本からユーロなどへ投資することも考えたほうがいい。投資先をグローバルに見るのがポイント」とも広木さんは話す。

 円安メリットのある企業のほか、為替や景気動向の影響を受けにくい企業への株式投資、さらにはグローバルな視野で外貨建て資産への投資などを検討してもいいかもしれない。(本誌・浅井秀樹)

(週刊朝日2022年5月6―13日号より)
(週刊朝日2022年5月6―13日号より)

週刊朝日  2022年5月6・13日合併号