利上げに動いた場合は……
利上げに動いた場合は……

 ただ、長期的に見ると、日本の自動車メーカーは米国市場での販売額が大きく、利上げで自動車ローンの金利も上がるため、売れにくくなる可能性もある。また、「ゼロコロナ政策」を遂行する中国が上海で都市封鎖するなどサプライチェーンと呼ばれる部品の供給網が混乱している。このため、円安でも、自動車株はあまり買われていないともいう。

 サプライチェーンが混乱しても、円安の恩恵を受けるセクターとして、窪田さんは海運株に注目する。具体的には、日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手3社を挙げる。

 資源価格の高騰でメリットがある株として、窪田さんが取り上げるのは、INPEX、住友金属鉱山、日鉄鉱業。資源を取り扱い、海外でも事業を展開する三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事の大手商社4社にも注目している。

 一方、仮に円安がどんどん進み、日銀が金融緩和政策を変更して、利上げなどへ動いた場合は、ゼロ金利政策で業績不振に陥っていた銀行株がおもしろいと窪田さんはみる。具体的には、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、国内中心に事業展開するりそなホールディングスという。

 さらに、円安に関係なく、需要が伸びるのは通信分野で、日本電信電話、KDDI、ソフトバンクに窪田さんは注目する。

 小林さんが円安で注目するのは、海外売上高比率の高い企業で、半導体製造装置のアドバンテストや東京エレクトロン、TDK、ホンダなど。ただし、これらは景気敏感株の色彩が強く、長引くウクライナ侵攻の影響などで世界景気が減速すれば逆風となるという。

 そこで、内需中心で、コスト増にも耐性がある分野として、小林さんは食品株に注目する。コスト増はあらゆる企業にのしかかってくるが、商品価格に転嫁しやすいブランド力のある銘柄として、日清食品ホールディングス、サントリーホールディングス傘下で飲料や食品事業を中核とするサントリー食品インターナショナルを挙げる。

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