そもそも、どうして円安が進行しているのか。米国では急激なインフレが進行し、これを抑えるため、中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が利上げするなど、金融引き締め策をとっている。一方、日本は日本銀行が金融緩和を続けており、日米で金利差が拡大している。お金は、より金利の高いほうへと動き、これがドル買い、円売りとなっている。

「米国は年率8%近い激しいインフレが進んでいる。何とか抑えようとFRBが利上げをするなど、いろいろな形で金融を引き締めている」

 こう話すのは、松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎さん。一方、日本は景気が米国ほど良くなく、黒田東彦日銀総裁は「円安は輸出企業にプラス」などと述べ、金融緩和政策を続けている。こうしたことから、窪田さんは「円安になりやすい地合いが続いている」と話す。

「いまの円安は、輸入額の拡大などで経常収支の悪化が長期化するとの懸念も背景にあるのではないか」

 こう指摘するのは、投資情報会社フィスコのチーフアナリスト、小林大純さん。小林さんは「黒田日銀総裁が金融緩和を見直すと言わない限り、円安は止まらない」とみている。

日銀の黒田東彦総裁は金融緩和を見直すことができるのか
日銀の黒田東彦総裁は金融緩和を見直すことができるのか

 1千兆円規模の財政赤字を抱え、巨額の国債を発行する日本にとって、金利上昇は利払い増大で財政がひっ迫する。国内がインフレになっても、米国のように、利上げに踏み切れない。むしろ、日銀がインフレを容認しているようにも、金融市場はみているという。そこを見透かして、黒田日銀総裁がどこまで金融緩和政策を続けられるのか、投機筋は日銀の対応を試しているのだと窪田さんは言う。

 こうして円安が進むなかで、どんな株式投資をすればいいのか。

 円安がプラスになる輸出企業の銘柄として自動車メーカーがある。具体的には、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、スバルなどだ。ドル円相場が1円の円安になると、それぞれ400億円、130億円、120億円、100億円のメリットになるとし、そのなかでも、収益の規模に対して円安メリットが大きいスバルに特に恩恵があると窪田さんはみている。

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