1988年9月、最初で最後の東京ドームでのライブ (Photo by Teruhisa Tajima)
1988年9月、最初で最後の東京ドームでのライブ (Photo by Teruhisa Tajima)

 1992年4月25日、シンガー・ソングライターの尾崎豊が26歳でこの世を去った。高校在学中のデビューから亡くなるまでの8年半に発表したのは71曲。令和の今も強烈な光を放っている。

【写真】愛用のFender Telecaster Yellowを手にする尾崎豊さん

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 没後30年の節目に「OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展」が開催されている。東京・松屋銀座で開催された展覧会の初日。会場には、尾崎と同世代と思われる人はもちろん、尾崎をリアルタイムで知らない若い人たちも多く訪れており、待機列ができる展示物もあるほどだった。

愛用のFender Telecaster Yellowを手にする尾崎豊 (Photo by Teruhisa Tajima)
愛用のFender Telecaster Yellowを手にする尾崎豊 (Photo by Teruhisa Tajima)

 尾崎が使っていたピアノやギター、マイクや手書きのセットリストなども展示され、その横ではライブ映像が流れている。手書きの歌詞ノートやレコーディング用楽譜、本人の財布など初展示品も少なくない。

尾崎のパフォーマンスを支えた「Gibson ES-175」
尾崎のパフォーマンスを支えた「Gibson ES-175」

 展示のテーマは「生きること」。ライブステージ写真からはエネルギーがほとばしり、手書きのノートからは葛藤がにじみ出る。尾崎が生きた証しが確かに感じられた。

代表曲「I LOVE YOU」の歌詞につながる創作ノートの一枚と、日々の思いを書き留めた多数のノート ((c)Hiroshi Iwasaki)
代表曲「I LOVE YOU」の歌詞につながる創作ノートの一枚と、日々の思いを書き留めた多数のノート ((c)Hiroshi Iwasaki)

 本展の制作を担当した大野剛史さんは、「尾崎が生きていた時間や過程を感じてほしい」と話す。

「時代は大きく変わり、社会が複雑化した現代でも、彼の価値は失われるどころか輝きを増しているようにも感じます。彼が遺した71曲全てが、彼の生きていた証しであり、日々の告白だったからこそ、今も多くの人々の心をつかんでいるのではないでしょうか」(大野さん)

学生時代に使っていた学習机と、机に彫られた文字。初期作品の数々をここで書き上げた
学生時代に使っていた学習机と、机に彫られた文字。初期作品の数々をここで書き上げた

「OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展」は、静岡(4/13~25)、福岡(4/29~5/15)、大阪(今秋)、広島(今冬)など各地を巡回予定だ。

グッズ付きチケットの特典 「OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展 オリジナル8cmシングル CD風 アクリルスタンド」。8cmシングルCDのパッケージをリアルに再現
グッズ付きチケットの特典 「OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展 オリジナル8cmシングル CD風 アクリルスタンド」。8cmシングルCDのパッケージをリアルに再現

(構成・文/吉川明子)

週刊朝日  2022年4月8日号