◆体験学習通じて志望動機強まる

牛舎で体験学習をした開明の修学旅行の様子(同校提供)
牛舎で体験学習をした開明の修学旅行の様子(同校提供)

 京大は、今年の特色入試の合格者が昨年から23人減った。そんな中で、特色入試がスタートした16年度から7年連続で合格者を出したのが開明(大阪)だ。今年は全国最多(判明率91.6%時点)の7人が受かった。

 前身の大阪貿易語学校時代には大手スーパー「ライフ」を展開するライフコーポレーションの創業者、清水信次さんらが輩出。関西きっての中高一貫の進学校だ。

 例年、修学旅行などさまざまな行事を体験学習の場とし、行き先について事前に学習し、現地の人たちの前で研究発表をする。「こうした取り組みが特色入試に生きた」と、教頭で進路指導部長の重康学さんは言う。

「中学時代から課外活動や人前での研究発表の機会を設けているので、物おじせずに臨めているのではないでしょうか」

 コロナ禍でも貴重な体験学習の場が奪われなかった点も大きい。

「毎年、高校2年時に北海道へ修学旅行へ行くのですが、一昨年は幸いなことに9月、10月あたりにコロナが収束気味になって、本当に短い期間でしたが行くことができました」

 農学部に進む2人は修学旅行先となる自治体の農業が抱える問題点や、漁業が衰退している現状について事前に研究した。そのプレゼンに加え、「ファームステイ」もできた。体験学習を無事に経験できたことで志望動機がより強まったという。

 開明は今年、京大を含めた国公立大の推薦合格者が40人。学校側には積極的に出願しようという姿勢がある。

「基礎学力も大事ですが、行事を通して直接体験して得る知見を広げていってほしいというのが体験学習の狙い。その意味で推薦入試に挑戦してくれる生徒が増えることを望んでいますし、一つの目標でもあります」(重康さん)

(本誌・秦正理)

週刊朝日  2022年3月11日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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