大人のお子様ランチ(1280円)
大人のお子様ランチ(1280円)
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閉店と聞き、懐かしんで市外からも客が来るという=撮影・高鍬真之
閉店と聞き、懐かしんで市外からも客が来るという=撮影・高鍬真之

 関西屈指の繁華街、京都・四条の老舗デパート・大丸京都店8階にある大食堂「ファミリー食堂」が2月28日、閉店する。かつて、どこのデパートにも大食堂があったものだが、客層の変化や食の多様化に伴い、現在はテナントを集めたレストラン街やフードコートに取って代わられている。今や“絶滅危惧種”の同店の最後の味を楽しもうと訪れた。

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「僕たち夫婦にとって、この『揚げそば』は忘れられないメニューの一つなんですよ」

 こう話すのは、神戸から来たという川田昭彦さん(57歳)、香織さん(52歳)夫妻だ。2人の出会いは33年前にさかのぼる。昭彦さんの勤務先である京都市内の建設会社に事務のアルバイトで入ったのが香織さんだった。

「社内運動会をきっかけに親しくなり、妻の大学卒業を待って結婚しました。初めてのデートで食事をしたのがファミリー食堂で、注文したのは僕が名物の『揚げそば』、妻は『オムライス』。以来、何度となく来てるんですが、毎回、『揚げそば』は外せません」

 昭彦さんは神奈川県生まれ。都内の大学を卒業後に就職し、京都支店に転勤。香織さんの実家は京都市上京区にあり、「京都ではデパートといえば、大きく大丸派と高島屋派に分かれるんやけど、うちの実家は市営地下鉄烏丸線で乗り換えなしで来られる大丸派やったなぁ」(香織さん)。

 この日は、閉店特別メニューの「復刻版揚げそば」と「大人のお子様ランチ」を注文し仲良くシェアしていた。

「復刻版揚げそば」は、「20年以上人気No.1の『揚げそば』をベースに今の味を守り、具材は昭和の内容で復刻させていただいております」(同店食券売り場担当)。野菜や魚介たっぷりの塩味ベースの熱々の餡(あん)が好評だ。

 一方の「大人のお子様ランチ」(写真)はオムライスを中心に、エビフライやハンバーグ、タコさんウィンナー、ニコちゃんマークのフライドポテト、サラダがワンプレートに詰め込まれている。1日200食以上のオーダーがあるそうだ。

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「サザエさん」からもわかる昭和の庶民にとっての特別な場所