※イラストはイメージです
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 病気には、環境や生活習慣によって引き起こされるものがある。「痔」は、その代表例だ。逆に言えば、日々の生活を見直すことで、これらの症状は抑えることができる。有効な対策法を専門家に取材した。

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「ふと便器を見たら、血で真っ赤に染まっていてギョッとしました」

 こう話すのは、都内に住む会社員の40代男性だ。男性が痔になったのは、昨年8月。新型コロナウイルスの影響で、在宅ワークになって半年が過ぎたころだった。

「排便時にチクッとした痛みがあって、ペーパーでお尻を拭くと血がついていました。さすがに最初はびっくりしましたね」

 在宅ワークになってから、男性は外を歩く機会がかなり減った一方で、デスクワークの時間が大幅に増えた。お酒を飲む量が増えたことも、痔になった原因かもしれないと話す。

「ただ、排便するとき以外は血も出ないし、痛みもなかったので、そのうち治るだろうと思って放っておいたんです。そのうち血を見ても何とも思わなくなりました」

 ところが数カ月後、浴室で体を洗っているときに、男性はお尻に何かが挟まっているような異物感を覚えた。

「何だろうと思って触ってみたら、黒豆大のいぼがお尻の穴から出ていたんです。それから太ももに伝うくらい血が出てきたので、急いで病院に行きました」

 男性のようにデスクワークが増えたことで、痔に悩む人は多い。そもそも、なぜ痔になるのだろうか。

 東京・秋葉原で、50年以上にわたり直腸・肛門疾患の治療に力を注いできた林医院の林久太佳院長によると、「痔の症状には大きく『いぼ痔』『切れ痔』『痔瘻』の三つがあり、それぞれ原因が異なる」という。

「いぼ痔は、肛門にある糸くずのような静脈の塊が、うっ血してこぶのようになった状態です。長時間の座り仕事や便秘による力みなどが原因で、腹圧がかかり続けると血液が滞留して腫れがひかなくなってしまいます」

 昔から高齢男性に多い症状だが、今は若い男女でもなりやすいという。原因はスマホだ。

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