(c)2020 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved
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──映画は当時の公民権運動の盛り上がりと、マーティン・ルーサー・キングとの関係についても触れています。アレサの政治的な面には共感しましたか?

「アクティビストとしての面に触れたことで、彼女の行動に感謝する気持ちが生まれ、彼女の音楽をより明確に理解する助けにもなった。彼女は私生活を大切にした人だけれど、自分の存在の大きさや影響力も意識していた。そして、同じ時代を生きる一人として、黒人の地位を向上させる重要さを理解していた。黒人の地位を向上させるために何かしたい、あんな時代だったからこそ、圧力に負けて引き下がることはできないと。だからこそ人々にはとても魅力的に映り、アーティストという範疇を超え、彼女の存在により惹かれたのだと思う。彼女の、自分の目的に向かって進むという姿勢を、アーティストとしてのお手本にしたいと感じた」

──映画でアレサの人生について語ることの意味は何でしょうか?

「彼女の存在は、とても意味あることだと思う。後につづく私たちのような世代が歩むことのできる道を切り開き、状況を改善してくれた。変化を促すために彼女が行動したこと、そしてその業績はとても大きい。現在の私たちの大きな助けになったと思う。だからこそ、若い世代が彼女の人生について知ることは大切だわ」

(高野裕子=在ロンドン)

週刊朝日  2021年11月26日号