デビュー50周年を迎えた郷ひろみ(C)朝日新聞社
デビュー50周年を迎えた郷ひろみ(C)朝日新聞社

「よろしく哀愁」「2億4千万の瞳」「GOLDFINGER’99」など各時代において数々のヒット曲を残し、いまもなお幅広い世代から愛され続けている郷ひろみ。

 そんな彼がデビュー50周年を迎え、8月4日には記念シングルとして新曲「100GO!回の確信犯/狐火」を両A面で発売した。これでなんと通算106作目となる。

 今回のシングルでは、これからの令和の音楽シーンを彩るであろう2人のアーティストが制作陣に参加したのが特徴だ。

 表題曲となる「100GO!回の確信犯」は、18歳の新進気鋭のクリエーターとして注目されるSASUKEが作詞作曲とミックスを担当。曲中にさまざまなトリックが仕掛けられていて、郷が過去にリリースした105曲のシングル曲から厳選された16曲のサンプリングで、楽曲に絶妙な味わいを与えている。

 SASUKEは今作について「郷さんの歴史やスター性、歌声を最大限に生かし、勢いのある華やかな歌詞と楽曲にすることを意識しました」と語っている。まさにこれまでの郷の軌跡と、進化し続ける姿を一度に堪能できる楽曲に仕上がった。そして同時に、SASUKEという若手クリエーターとしての更なる可能性を実感する1曲となった。

 一方、「狐火」は、ポピュラー音楽における名作曲家であるバート・バカラックが90歳を超えて昨年発売した至極のバラード「Bells of St. Augustine」のカバー。郷が歌う日本語詞は、訳詞ではなく完全オリジナルとして「ゲスの極み乙女。」の川谷絵音が提供したものだ。

 これまで楽曲によって様々なキャラクターを演じ分けてきた郷だが、この曲は一味違う。それは一人称が「俺」になっているということだ。ほとんどの曲で「僕」という一人称を使ってきた郷。だが今回の楽曲では、長年のキャリアと貫禄ゆえに「俺」がしっくりくる歌い方になっており、新たな郷の魅力が川谷の詞によって引き出されている。

 サブスクの解禁やYouTube、TikTokなど活躍の場を広げている郷。今後もますます多くの人びとを魅了し続けるパフォーマンスを期待したい。

(山下めぐ)

※週刊朝日オンライン限定記事