だが前出の曽根さんは「むしろ利用しないほうがよい場合もあります」と注意を促す。

「たとえば、将来的に自宅を売って得たお金介護施設に入ったり、一人暮らしに合った住まいに引っ越したりしようと考えている場合は、選ばないほうがよいでしょう。所有権を相続しないと、自宅を自由に処分できなくなります」

 居住権の金額的な評価の仕方や目安などは、制度を運用する中で定まってくる面もある。利用すべきかどうか迷ったら専門家に相談するとよい。

 相続に関しては、大きなルール変更が相次ぐ。いざというときに慌てないよう、元気なうちからじっくりと考えておきたい。(本誌・池田正史)

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週刊朝日  2021年7月16日号

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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