ミッツ・マングローブ「無名の偶像。三億円事件の顔」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ミッツ・マングローブ「無名の偶像。三億円事件の顔」

連載「アイドルを性せ!」

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ミッツ・マングローブ

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 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、3億円事件の犯人のモンタージュ写真について。

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 田村正和さんのドラマ(主にTBS)を観まくっていたら、久しぶりに「篠ひろ子熱」が再燃してしまい、いろいろと古い作品を探索した結果、沢田研二主演の『悪魔のようなあいつ』というドラマ(1975年放送)に行き着きました。

 ジュリー演じる青年に想いを寄せつつも、「セフレ以上恋人未満」を超えられない看護婦役という設定の篠さん。ストーリー全体もハードボイルドとコメディとエロが突拍子のない混ざり方をした謎の作りになっています。無闇やたらとジュリーの裸やベッドシーンが多いのも、とにかく人気絶頂のトップアイドルを「愛でる」ために作られた本作品にとって、それがいちばんの目玉(サービス)だったからでしょう。とは言え、なんとジュリーが演じているのは、あの「三億円事件」の犯人なのだから驚きです。

「三億円事件」とは、言わずもがな1968年に発生し、犯人が捕まることなく時効が成立した日本犯罪史に残る未解決事件。もちろん私が生まれる前の出来事ですが、親や先生から何度となく聞かされてきただけでなく、多くの小説や映画やドラマ、時には歌にもなり、今もって語り継がれる「戦後昭和のメイントピック」です。

 私が初めて三億円事件を描いた作品を観たのは、1991年に織田裕二さんが犯人役を演じたドラマでした。厳格な白バイ警官の父を持つ青年が、グレた挙句に事件を起こし、最終的には自殺してしまうという、妙に儚い設定だったのを憶えています。

 ジュリー演じる犯人像も、3億円を盗んだものの癌に侵されてしまい、時効成立と余命に追われながら一日一日を生きる……。だいぶ突飛な描かれ方ですが、いまだにたくさんの説や見立てが出ては消えを繰り返しているこの事件が、いかに人々の妄想を掻き立てる「魅力」を持っているかを物語っています。


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