林:壇蜜さんみたいに、女性という性をある程度記号化してデフォルメしたり、自分の手のひらの上で転がしながら表現してきた人には、非常にやりづらい時代ですよね。

壇蜜:むしろ本当に平等に区別したときに世界が終わるな、という予感がします。「男も女も関係ない。個性で判断すればいいじゃん」ってなる前に、生物学的にあらわれない本能まで消しちゃったら、個性なんて育たない気がします。「個性を出せ」というのは、男や女が区別されていた時代に生まれた言葉だから、個性はもうなくなると思いますね。

林:確かにそのとおりだと思います。今こうしてお話ししてても、例えば「お子さんはまだですか?」とか聞くのは時代的にNGなんですよね。結婚披露宴のあいさつで「早く元気で可愛い赤ちゃんを」なんてことも絶対言っちゃいけない。

壇蜜:私は年齢的にも時期的にも、まだ「子どもは考えてます?」って恐る恐る聞かれます。

林:聞いちゃいますけど、いかがなんですか。

壇蜜:まあ、考えてないですね、今のところ。

林:壇蜜さんと子どもって、すごく似合わないような気がする。

壇蜜:私もそんな気がします。

林:昔から女性の理想形を描くときに、子どもは持たせないじゃないですか。『源氏物語』の紫の上みたいに、光源氏に最高に愛された女性も子どもはいないんですよ。

壇蜜:私の場合、子どもという生き物へのアプローチが嫌いではないんです。暴れてしょうがない子役の子を、ずっと抱っこしておとなしくさせることもできるし。

林:壇蜜さん、お母さんの役やったことありましたっけ。

壇蜜:けっこう多いです。3人の子持ちとか。自分がもし万が一、子どもを持つことになったら、子どもは自分の体の一部という感じで、たぶんべったりになるだろうなと思います。考えてみると母もそうだったんですよ。母は私がけっこう大きくなるまでずっと抱っこしてくれて、ずっと一緒にお風呂に入って、ずっと一緒に寝てたんです。だから私も子どもが生まれたら同じことをすると思います。

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