それでも年の差婚への憧れは現実にある。ニッセイ基礎研究所のシニアリサーチャーで『データで読み解く「生涯独身」社会』などの著書もある天野馨南子さんは「フィルターバブルが起きている」と指摘する。天野さんによると、芸人の有吉弘行(46)とアナウンサーの夏目三久(36)の結婚発表の後、民間や自治体の運営する全国の結婚相談所には年の離れた女性とのマッチングを希望する40~50代の男性からの問い合わせが急増したという。だがそれは決して珍しいことではなく、カウンセラーたちは「また来たか」と話し合ったそうだ。というのは、TOKIOのリーダー城島茂(50)が25歳年下のタレントと結婚した後も、ナインティナインの岡村隆史(50)が30代の一般女性と結婚を発表した後も、同様の現象があったからだという。

「一度検索してその年の差婚のニュースをネットの総合情報サイトなどで見ると、ネットのおススメ機能がその手の類似ニュースを次々と挙げてくるようになるんです。あたかも年の差婚がこの世に溢れているかのように感じられてしまう。これをフィルターバブルというのですが、でもそれに気付かない人が多いんです」(天野さん)

 すべての婚姻届を集計している人口動態調査(2018年版)などのデータをみると、18年に届け出、結婚生活を始めた初婚の件数は約34万組。そのうち、ナイナイの岡村のような50代男性の婚姻数は2千数百件で全体の0.7%。そのうち、30代女性と結婚したのは649件。なんと全体の0.2%しかいないのだ。

 年の差カップルが結ばれるのは、このように狭き門ではあるが、結婚観の多様化や人生100年時代のこれからは、年の差婚が増えてくる可能性はある。

 ただし、年の差カップルが結婚するまでには、越えるべき難問が多数ある。25年前、26歳のときに45歳の男性と社内恋愛の末結婚した久美子さん(仮名・51歳)は、こんな体験を話してくれた。

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