将来についても年の差婚には問題がついて回る。年上の配偶者が先に定年を迎えたり介護が必要になったり、死後に起こる経済問題もある。相続実務士で夢相続代表の曽根恵子さんは「問題が起こる前に話し合っておくことが大切」と話す。特に問題が生じやすいのが、年の差婚が再婚で、前妻(前夫)との間に子供がいる場合だ。

離婚後は別々に暮らしていたとしても前妻の子供には父親の財産を相続する権利があります。たとえ後妻との間に子供がいたとしてもです。特に前妻の子供たちが後妻のことを父親を奪った相手と思っている場合などは、残された後妻と前妻の子供の間に交流があることはめったになく、揉め事になりやすいのです」

 たとえば、遺産が1200万円あったとする。法定相続なら、妻が2分の1の600万円。残りを後妻の子と前妻の子で等分に分ける。後妻との子が1人、前妻との子が2人であれば、1人200万円ずつ相続する権利を主張できる。

「しかし、遺言書に前妻の子に分けるものはないと書かれていれば、不毛な話し合いは不要になります。亡くなった夫が前妻の子にも財産を残したければ、生前贈与をしておくことで遺留分請求が避けられるので、さらに安心です。遺言書には『生前贈与が遺留分だった』とはっきり書いておくべきでしょう。存命中に夫婦で話し合い、一緒に遺言書を書くのもいいですね。気を付けたいのは遺言の内容は隠さず、夫婦で共有することです」

 年の差夫婦がもう一つ知っておきたいのが年金の問題だ。夫に先立たれたとき専業主婦の妻は、夫が厚生年金に加入していれば遺族年金の支給を受けられるが、夫の死亡時の妻の年齢によって差が出てくる。夫の老齢年金が年100万円だとしたら、40歳未満で夫を亡くした妻は遺族厚生年金を約75万円受け取れる一方、40歳以上であればさらに中高齢寡婦加算約60万円が上乗せされる。また、夫の死亡時に子供がなく妻が30歳未満の場合は、遺族厚生年金は5年間しか受け取れないことも留意すべきだろう。

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