遠藤泰子さん (撮影/写真部・高野楓菜)
遠藤泰子さん (撮影/写真部・高野楓菜)

 朝のラジオニュース番組「森本毅郎・スタンバイ!」は、30年近く同時間帯聴取率1位を独走してきた。番組が始まった1990年からアシスタントを務めるフリーアナウンサーの遠藤泰子さんは、現在77歳。今も毎朝、東京・赤坂にあるTBSのスタジオでニュースを読む。「日本一のニュースの読み手」と森本さんが信頼を寄せる遠藤さんは、どのように75歳を折り返したのか。

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「74歳のとき、股関節神経症が悪化しました。杖にすがって歩くほどで、健康なら2、3分で行けるところにそろそろと10分かかるんです。ごく当たり前の動作ができないことが悔しくて」

 マイクの前では大きく見えるが、実は小柄。滑舌のよい低めの声はラジオのままに艶(つや)やかだ。

「体にメスを入れるのが怖くてありとあらゆる民間療法を試しましたが、75歳の暮れに思い切って手術しました。全身麻酔は初めてです。手術翌日には痛みが取れて、1カ月後には杖なしで歩けるように。当たり前に歩けるって本当にありがたいですね。

 足の病気なので声には影響ないと思っていましたが、あとで友人から『手術したらマイクを通して聴く声が変わったわよ』と言われました」

 番組は月~金、朝6時半に始まる。遠藤さんの平日は規則正しい。

「3時半起床、21時半就寝の生活はすっかり体内時計に刻まれています。24時間が「スタンバイ!」を中心に回っているんです。4時半過ぎに家を出て、5時に赤坂のTBSに入ります。新聞12紙に目を通してから本番です。

 番組終了後は軽食をつまみながらスタッフと反省会。コロナ禍の今は終わったらまっすぐ家に帰ってずっと家の中にいます。滅入りませんか?と聞かれますが、一人っ子だからか一人で時間を過ごすのは苦になりません。家の中をせっせと片付けたりしていると時間はあっという間に経ちますね。夕方は17時半から食事をして19時にお風呂。21時半にはベッドに入ります。お酒も平日はビール1杯まで。会食の予定も入れません。その分、金土に楽しんでいましたが、コロナで遠ざかりました」

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