光石:芸能界というか、映画界に行きたいと思ったんですね。映画の現場に役者として参加した中で、裏方さんは大変そうだなとも思って。音声さんや照明さんは、親方が上にいて、助手がものすごく怒られてたんです。「ここのいちばん下についたら怒られるだろうな」というのはありましたね。

林:でも、俳優さんだって大変そうじゃないですか。

光石:そうですねえ。たまたま最初の作品で演じたのが、主役の中の一人だったんで、大切にしてもらったのがよかったのかもしれないですね。「俳優さんは大切にしてもらえるんだ」って思ったかもしれないです。それで役者になろうと思って上京してきたんです。

林:上京したあと、お仕事はあったんですか。

光石:それが、上京してすぐにスタッフの方々がよくしてくださって、今の事務所を紹介してくれたり、ドラマに出させてくれたり、皆さんのおかげで20代前半はお仕事をいただいてましたね。事務所に緒形拳さんがいらしたんですけど、緒形さんの番組に出させていただいたり。

林:藤真利子さんも同じ事務所ですよね。私、仲良しなんです。

光石:そうですか。最近お会いしてないんですが、真利子さんはずいぶんよくしてくださったんです。林 これまで演じた役はもうン百人近いんじゃないですか。

光石:うーん、何人やったかわかんないですねえ。

林:刑事さんの役もやれば、NHK連続テレビ小説の「エール」で音ちゃん(二階堂ふみ)のお父さんの役もやって、大河ドラマにもいくつもお出になってるし、民放各局も総なめですよね。

光石:いやいや、まだまだほんとの名脇役と言われている人たちには負けます。

林:バイプレイヤーズの方たちって、いい仲間であると同時に、ライバルでもあるわけですよね。「あの役、俺がやりたかったな」と思うこともあります?

光石:いやァ、ここまで来るとそれはないですね。特に「元祖バイプレイヤーズ」と言われているこの4人は、ここ二十数年ずっと同じ時代を過ごしてきたという意識があるので、やっかみとかはないです。

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