「ホスト時代の健康を救ってくれたのが、たんぱく質、野菜、炭水化物とセットで摂(と)りやすく、消化にもいい鍋料理。二日酔いでもさっぱり食べやすい湯豆腐、鱈ちり、水炊きをローテーションで食べる中でハマったのが、ポン酢です」

 ハマるととことん追求するのが、城咲さんの性分。ゆうに200種を超える全国のポン酢を片っ端から試しては味を比べた。一番のお気に入りは、まろやかな塩味とさわやかな果汁の酸味が料理の味を引き立てる、倉敷味工房(岡山県)の「塩ぽんず」。「今度は、自分でポン酢の新商品を開発してみたい」と、ポン酢愛を語る。

 ホスト時代、その前のバーテンダー時代と、水商売時代には、お酒についてとことん勉強し、知識を深めた。人前で話すのに、浅はかな知識では自分が納得できない。グラスやボトルのさばき方に始まり、お酒の作り方や飲み方、美しい注ぎ方……自分にも店のスタッフにも、プロとして徹底した姿勢を貫いた。

「わからないことがとにかく嫌なんです。わからないでお酒を作ることも、お客さんに薦めることも嫌。自分の職業に対して、ストイックであるべきだと思っています」

 タレント転身後、現在は通販番組で健康や美容について説明する機会が多いだけに、スーパーフードマイスター、薬膳インストラクター、雑穀マイスター、ダイエットインストラクター、ソイフードマイスターと、食に関して取得した資格も数多い。

「僕のキャラクターは、人に対するホスピタリティーでできていると思う。ホスト時代の接客も、料理や健康に関してアドバイスすることも、自分の中では人へのホスピタリティー。そこはずっとぶれてないんです」

 そんな城咲さんの考案した「トマトつけ麺」。シンプルなだけに、自在にアレンジも楽しめる。例えばイタリアンテイストにしたいなら、つけダレに軽くオリーブ油を垂らし、パルミジャーノなど粉チーズを振りかけて。パクチーなどの香味野菜を添えるとオリエンタルな味わいになる。

 シニア向けに、さらに軽めのレシピにするなら、中華麺を細めのうどんに変え、トッピングの肉を鶏ささみなど、脂分の少ない肉に変更。食欲がイマイチな時には、つけダレに生姜のしぼり汁や貝割れ大根をプラスすると、さっぱりと食べやすい。

「これからの季節、白ワインや辛口のロゼワインに合わせても楽しめます。家にあるもので手軽にできるので、ぜひ試してみて」

(本誌・松岡かすみ)

週刊朝日  2021年4月2日号

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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