天皇陛下)雅子は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による活動への制約などから、体調を整えにくくなっている面はありますが、種々の工夫や努力を重ねながら、幸いにして、昨年も諸行事や諸儀式を滞りなく務めることができました。特に、昨年の5月から6月にかけては初めての養蚕に取り組んだほか、11月には立皇嗣宣明の儀・朝見の儀を無事に終え、また、新年のビデオメッセージでは、一緒に国民の皆さんにごあいさつができたことを良かったと思っております。

 ただ、雅子はいまだ快復の途上にあり、体調には波があり、大きな行事の後には、疲れがしばらく残る傾向があります。これからも、無理をせずにできることを一つ一つ着実に積み重ねていってほしいと思います。また、雅子は私の日々の活動を支えてくれる大切な存在であるとともに、公私にわたり良き相談相手となってくれております。私も、今後ともできる限り雅子の力になり、支えていきたいと思っています。

 国民の皆さんには、これまで雅子に温かく心を寄せていただいていることに、改めて感謝の気持ちをお伝えするとともに、引き続き雅子の快復を温かく見守っていただければありがたく思います。

 昨年の4月から大学生になった愛子は、新型コロナウイルス感染症の影響により、オンラインでの授業が続いておりますが、昨年秋に初めて大学に登校した際に「大学では新しい知識を得たときに感じられる喜びを大切にしながら、様々なことに取り組んでいければと思っています」と語っていたように、大学での勉強に意欲的に取り組んでいることを私と雅子もうれしく思い、また、少し頼もしくなったように感じております。

 オンラインでの授業では、課題もかなり多く、愛子もその一つ一つに一生懸命に取り組んでおり、大変そうですが、授業を準備される先生方のご苦労も大きいものと思いました。私たちも、愛子がオンラインで授業を受けているのをそばで見る機会もありましたが、私たち自身も、新たな知見を得ることができたり、何か学生時代に戻ったような気持ちになりました。今後、どのような状況の大学生活になるかは分かりませんが、愛子には、有意義な学生生活を送ってもらいたいと願っております。

 愛子は、普段時間のあるときには、屋外で運動も少ししたりしていますが、家の中で過ごす時間も長いので、私たち家族3人で楽しくだんらんする時間を大切にしてくれています。また、早いもので今年の12月で成人を迎えます。愛子が誕生した時の会見でも申しましたが、孟子の言葉を参考にした「敬宮」「愛子」という名前には、人を敬い、人を愛してほしいという、私たちの願いが込められています。それは20年経つ今でも変わっておりません。今後、成年皇族として公務に当たっていくことになりますが、感謝と思いやりの気持ちを持って、一つ一つの務めを大切に果たしていってもらいたいと思います。

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上皇陛下、秋篠宮さまと会う機会が減り